商務省ビジネス開発局(DBD)は2026年4月1日より、外国人によるタイ人名義の事業登録(ノミニー行為)を規制する新措置を施行した。1月からの第1弾(銀行口座証明の提出義務)に加え、さらに厳格な書類確認を追加した。
新措置の内容
4月1日に施行された新規則の核心は、外国人が合同会社(ห้างหุ้นส่วน)の持分変更や株式会社(บริษัทจำกัด)への取締役就任を登記申請する際に、「合同経営者または代表取締役が、すべての持分保有者・株主が真に投資・出資しており、外国人のためのノミニー的な参加を行っていない旨を確認する書類」の提出を義務付けるものだ。
この新規則は、2026年1月施行の第1弾ルールを補完するものだ。第1弾では、外国人持分比率が50%未満でも、外国人が取締役権限を持つ場合に、タイ人株主全員の銀行口座残高証明の提出を求めた。これにより1月から申請件数ベースでノミニー疑い案件が65%減少したとDBDは報告していた。
施行前の抜け穴への対処
DBDのプーンポン・ナイナーパーコーン局長によれば、第1弾ルール施行後も、一部の事業者がルールの施行日(1月1日)前に駆け込みで疑わしい登記を申請するケースが確認されたという。新規則はこの抜け穴を塞ぐため、こうした「故意の違反行為」への厳正な対処を明示した。
ノミニービジネスとは
外国人がタイ人を名義上の株主・経営者として立て、実質的な経営権を持ちながら外国企業規制(外国事業法)を回避するビジネス形態を「ノミニー(นอมินี)」という。タイの外国事業法は飲食業・小売業・不動産など多くの業種で外国人による経営を制限しているため、一部の外国人投資家がこの仕組みを使ってきた。
合法的な外国人ビジネス参入方法としてはBOI(投資委員会)認証や外国事業許可証の取得などがあるが、プロセスに時間とコストがかかる。ノミニー規制の強化は合法的な参入を促す効果が期待される。
影響範囲と対象
タイで事業を行う外国人、特に小規模な外食・小売・不動産業者が対象になりやすい。コーヒーショップ、レストラン、輸入雑貨店など、タイ人パートナーを形式的に立てて経営するスタイルは少なくないとされる。今後は書類審査で実態を確認する仕組みが強化される。
違反が発覚した場合は、事業登記の抹消と外国事業法・民商法に基づく刑事・民事責任が問われる可能性がある。