タイのビール「チャン(Chang)」の販売会社が2026年3月末、ビール1本あたり2バーツの値上げを発表した。4月のソンクラン(タイ正月)を前にした値上げで、祭りを楽しもうとしていた消費者に冷や水を浴びせた形となった。
値上げの理由
チャンビールの製造・販売を手がけるタイ・ビバレッジ(ThaiBev)は、燃料価格の高騰による輸送コスト増加を主な理由として挙げた。1ケース24本あたり24バーツの値上げで、1本あたり2バーツの計算だ。
中東情勢の悪化でタイ国内のディーゼル価格が急騰した影響が、飲料の物流コストに転嫁された形だ。同様のコスト増は他の食料品・日用品全般に及んでおり、消費者物価の上昇圧力が続いている。
連鎖値上げへの懸念
タイのビール市場はチャン、シン(Singha)、リオ(Leo)など大手数社が市場を寡占している。業界団体の関係者は「チャンが値上げすれば、他のメーカーも追随する可能性が高い」と述べており、ビール全般の値上がりにつながるとみられる。
前週には他のビールメーカーが「まだ値上げしない」とコメントしていたが、状況が変わっていた。
ソンクランへの影響
ソンクランは家族や友人と集まって飲食するタイ最大の祝日であり、ビールやアルコールの消費が急増する時期だ。1本2バーツの値上がりは金額的には小さいが、大量に消費される祭りの時期には家計への影響が積み重なる。
消費者の間では「祭りの前のタイミングで値上げするのは便乗だ」という不満の声も聞かれた。
タイのビール消費と市場規模
タイは東南アジアでも有数のビール消費国で、年間約22億リットルが消費される。1人あたりの消費量は約30リットルで、タイ人の生活・娯楽・外食に深く根ざした文化がある。タイのビール市場規模は年間約1,800億バーツ(約8,000億円)と試算されており、わずかな単価の変化が業界全体の売上を大きく動かす。