タイ外務省は2026年3月21日、ビザ免除滞在を現行の60日から30日に短縮する方針を正式に承認した。シハサック・プアンケートケオ外務大臣が主宰するビザ政策委員会での決定で、今後は閣議での承認を経て施行される。
短縮の理由
外務省が挙げた主な理由は二つだ。詐欺グループによる制度の悪用と、安全保障上のリスクだ。60日のビザ免除を使ってオンライン詐欺の拠点としてタイに入国するグループが問題になっていた。ミャンマー国境付近のサイバー詐欺センターとの連動や、不法就労に長期ビザ免除が使われるケースが摘発されている。
旅行者への影響
日本人旅行者は現在ビザなしで60日滞在できる。30日への短縮後は、1か月以上の滞在にはビザ取得が必要になる。ただし、30日の延長申請(TR延長、イミグレーションオフィスで手続き)が可能になる見通しで、これを利用すれば計60日の滞在は引き続き可能とみられる。
短縮が大きく影響するのは「ビザラン」で長期滞在している外国人と、ノマドワーカーとしてタイを拠点にしている人々だ。現在はビザなし60日+30日延長のサイクルで最大90日程度の滞在が可能だったが、制度が変わればより頻繁な手続きが必要になる。
タイのビザ戦略の変化
タイは2022〜2023年にかけて長期滞在ビザ「LTRビザ」(最長10年)を導入し、富裕層・リモートワーカー・デジタルノマドの誘致に積極的だった。ビザ免除の短縮はその流れとは逆行するようにも見えるが、外務省の意図は「入りにくくする」のではなく「管理を強化する」点にある。
ASEAN近隣国との比較では、マレーシアは日本人に90日のビザ免除、ベトナムは最近45日に延長した。タイが30日に短縮されると、長期旅行者の目的地選択に影響する可能性がある。
施行時期と手続き
この方針は外務省委員会の承認段階であり、閣議での正式決定と施行日はまだ発表されていない。旅行計画を立てる際は、タイ外務省または在タイ日本大使館の最新情報を確認することが重要だ。