タイ警察は、仮想通貨を金地金に変換するマネーロンダリング組織の主要容疑者を逮捕した。推定被害額は5,000万ドル(約170億円・約17億バーツ)に及ぶとされ、タイの仮想通貨関連犯罪として大規模な摘発となった。
手口の概要
組織は、海外の詐欺グループから仮想通貨(ビットコインやUSDTなど)の形で資金を受け取り、それを金地金に換金することで資金の追跡を困難にしていた。仮想通貨はブロックチェーン上で取引の記録が残るが、いったん実物の金に換えれば物理的な移動となり、デジタルの痕跡が途切れる。さらに金を再度売却することで現金化が容易になる。
タイのヤワラート(バンコクのチャイナタウン)などに集積する金取引業者を悪用した疑いが指摘されている。正規の金取引業者を装って大量の金の売買を繰り返し、資金の出所を隠した。
容疑者の逮捕
タイ警察の金融犯罪捜査局(CFSB)が数カ月にわたる捜査の末に主要容疑者を特定し、逮捕した。容疑者はマネーロンダリング防止法違反および詐欺幇助の疑いが持たれている。タイ警察は国際刑事警察機構(インターポール)との連携を通じて、この組織の関係者を複数の国で追っているとされる。
タイにおける仮想通貨犯罪の増加
タイ証券取引委員会(SEC)のデータによると、仮想通貨を絡めた詐欺やロンダリングの被害報告は2023年から急増している。特に被害が多い手口は「ピッグ・ブッチャリング(豚の屠殺)」と呼ばれる、SNSで親密な関係を築いてから高収益の仮想通貨投資話を持ちかけるものだ。
タイは東南アジアの仮想通貨利用者が多い国の一つで、2025年の調査では成人の約25%が仮想通貨を保有または取引した経験があると答えている。利用率の高さが犯罪の被害者予備軍の多さにもつながっている。
法規制の現状
タイSECは2022年から仮想通貨取引所に対する規制を強化しており、2026年6月までに無認可取引所へのアクセスをブロックする方針を打ち出している(Bybit、OKXなどが対象)。ただしVPNを使った規制回避は技術的に完全な防止が難しく、法規制と犯罪手口の間でいたちごっこが続いている。
マネーロンダリング対策局(AMLO)は今後も資産追跡能力を強化し、国際的な協力体制を通じて仮想通貨関連の組織犯罪を取り締まる方針だ。