タイ首都圏犯罪捜査局(กองปราบ)がコールセンター詐欺グループを逮捕した。手口は63歳の高齢女性に「オンラインショップの開設ミッション」を課し、総額270万バーツ(約1,200万円)を騙し取るものだった。
手口はこうだ。まず電話で「政府の副業支援プログラムに参加できます」と持ちかける。次に「ミッション」と称して偽のオンラインショップを開設させ、商品の仕入れ費用として「手数料」や「保証金」という名目で現金を振り込ませる。「ミッションをクリアすれば報酬が得られる」と信じた被害者は、疑問を持ちながらも次々と送金を続けた。最終的に270万バーツという大金を失った時点で家族に相談し、詐欺と気づいた。
このタイプの詐欺は「タスク詐欺」または「ミッション詐欺」と呼ばれ、タイで急増している手口の一つだ。TikTokやLINEなどのSNSを通じてアプローチすることが多く、「スマートフォンで簡単に稼げる副業」という触れ込みで高齢者を中心に被害者を増やしている。被害者はミッションを重ねるうちに引き返せない状況になり、最終的に多額の損失を被る構造になっている。
逮捕されたのは「マネーミュール(口座荒らし役)」の役割を担ったメンバーだ。詐欺グループは指示役・電話役・口座役など役割を細かく分担しており、末端のミュールだけを逮捕しても背後の指揮系統に迫れないという課題がある。今回の捜査では資金の移動経路を追跡して関係者の特定を進めており、主犯格の逮捕が焦点となる。
タイでは65歳以上の高齢者の詐欺被害が増加しており、家族への被害報告や予防教育が対策の柱となっている。「副業で稼げる」「政府の支援」という甘い言葉には十分な注意が必要だ。