チャイナート県で2026年3月23日、ディーゼルを大量に買い占めて農家に高値転売していた資本家が当局に摘発された。燃料危機の最中に弱者から搾取する構造に、当局がメスを入れた形だ。
逮捕の経緯
チャイナート県商務局、エネルギー局、計量局が合同で摘発した。容疑者は複数のガソリンスタンドを巡回し、ディーゼルを繰り返し購入して大型タンクに貯め込んでいた。そのうえで、燃料が手に入らない地元の農家に対し、市価を大きく上回る1リットル42バーツで販売していた。
容疑者本人は「農家が必要としているので集めて売っていた」と釈明したが、無許可での転売行為は「石油燃料取引法(2543年)」に違反する。当局は比較違反金を課したうえで、さらなる調査を進めている。
燃料危機の深刻さ
この摘発が行われた2026年3月は、中東情勢の悪化を受けてタイ国内のディーゼル価格が急騰した時期にあたる。3月下旬にはディーゼルが1リットル33バーツに達し、農業や漁業、物流の現場で深刻な影響が出ていた。
特に農業地帯では、田植え・収穫・灌漑のためにディーゼルを動力源とする機械が欠かせない。ガソリンスタンドに長蛇の列ができるなか、まとまった量の燃料を確保できない農家が続出していた。
「ブローカー転売」の問題
今回のようなケースは「燃料ブローカー」と呼ばれる。スタンドの販売制限をかいくぐるためにタンク付きのトラックを複数台使ったり、名義を変えて買い付けたりするケースも報告されている。
商務省は同時期に複数の転売業者を摘発しており、チャイナート県以外でも同様の行為が全国で発生していた。
タイの農家の多くは現金収入が少なく、燃料費の上昇は生産コストに直結する。米価など農産物価格が短期で変動しにくい構造のなか、燃料代だけが跳ね上がると農家の手元に残る利益は消えてしまう。
法的な対応
タイの石油燃料取引法では、無許可での燃料転売に罰金が科される。2026年3月の危機対応として、政府は買い占めや不正転売の摘発強化を指示した。警察・商務省・エネルギー省が連携して取り締まりにあたっており、発覚すれば懲役刑も視野に入る。