タイ民間航空局(CAAT)は航空各社に対し、ソンクラン連休(4月12〜16日)の航空券を30%値下げするよう正式に要請した。中東情勢の緊迫化を受けた燃油高騰で、航空会社各社が相次いで燃油サーチャージを引き上げている中で、消費者の帰省・旅行の機会を守る狙いだ。
CAATのサラニウ副局長によれば、ジェット燃料の国際相場は中東の紛争激化により急騰している。タイ国際航空(THAI)はすでに燃油サーチャージの引き上げを実施済みで、他社も追随する動きがある。CAATとしては「航空会社は法令の範囲内でサーチャージを自由に設定できる」と認めながらも、ソンクラン期間の値下げ協力を求めた形だ。
CAATはあわせて政府に対し、国内線の航空燃料にかかる物品税を一時的に引き下げるよう働きかけを行っている。燃料コストが下がれば航空会社の経営圧迫を和らげつつ、消費者への価格転嫁も抑えられるという計算だ。しかし政府の決定には時間がかかるため、ソンクラン前の実現は不確実な状況だ。
ソンクランはタイ最大の連休で、バンコクから地方の実家に帰省する人の波は日本のお盆や年末年始に匹敵する規模になる。交通需要が集中するため、バス・鉄道・航空のいずれも満席が続く。特に地方路線の航空需要は高く、LCCを含む各社が通常より高い価格帯でチケットを販売することも珍しくない。
ただし30%の値下げ要請に法的拘束力がどこまであるかは明確ではない。国営のTHAIには事実上の圧力がかかりやすいが、LCCは「対応を検討中」との立場で、全社が一斉に値下げするかは流動的だ。これまでも政府の「要請」がある程度の抑制効果を持ちながら、実際の値下げ幅は各社まちまちというケースが続いている。
日本ではANAやJALが年末年始・お盆の繁忙期に特別値引きを行う慣行はなく、むしろ需要期は割増料金となる。タイ当局が価格に積極的に介入する背景には、航空を「公共インフラ」と位置づけ、国民の移動権を守る政策思想がある。今回の要請がどこまで奏功するかは、ソンクランの航空券価格の推移で明らかになる。