タイ国内の銀行支店内で5月20日、口座凍結(บัญชีถูกอายัด)状態の解除を求めて来店した女性客が、職員が引き出しを許可できない状況にストレスを爆発させ、ライターで点火して自分を焼くと脅迫する事件が発生した。警察が現場に駆け付けて説得交渉を行い、最終的に容疑者は落ち着いて自傷行為には至らなかった。タイ国内では中央銀行のマネーロンダリング対策強化を背景に、銀行口座の即座凍結が急増しており、誤って一般市民の口座が凍結されるトラブルが頻発。今回の事件は構造的問題が個人レベルのストレス事案に発展した典型例として注目されている。
銀行内での緊迫した展開
事件が発生したのは5月20日、タイ国内の銀行支店内。具体的な支店名と詳細な所在地は報道時点で未公表だが、女性客が口座凍結状態の解除と現金引き出しを求めて来店し、職員から「凍結中のため引き出し不可」と断られたところから事態が動き始めた。
女性客はライター(ไฟแช็ก)を取り出し、「自分の体に火をつける」「焼身する」と脅迫。銀行内の他の客や職員はパニック状態に陥り、店内の警備員と職員が警察に通報した。
タイ警察庁の現場警官が即座に駆け付け、女性客との説得交渉を開始。「口座凍結は銀行と中央銀行の手続き上の問題で、本人の責任ではない」「警察が銀行側に再審査を依頼する」「自傷行為は問題を解決しない」といったメッセージを繰り返し伝え、約30分の交渉で女性客は落ち着き、ライターを警官に手渡した。
口座凍結問題の構造
タイで「口座凍結(บัญชีถูกอายัด)」事案が急増している背景には、中央銀行(Bank of Thailand、BOT)が2024年から強化したマネーロンダリング対策がある。
BOTの新ルールでは、各商業銀行に対して次の対応が義務付けられている。
- 「マネーミュール口座(บัญชีม้า)」=他人の口座を借り受けて詐欺に使う口座の早期発見
- 不審な入出金パターンの自動検知
- 「疑わしい」と判定された口座の即座凍結
- 凍結後の本人確認・身元再審査
- AMLO(マネロン対策事務所)への報告
しかし、自動検知システムの精度が不十分で、誤って一般市民の口座が凍結されるケースが続出している。
不当凍結の主なパターン
タイ国内で報告されている不当凍結のパターンは次の通り。
- 公務員・警察官の給与口座が「不審な入出金」と誤判定される事例
- 退職者の年金受取口座が「動きが少ない」と凍結される事例
- 自営業者の事業口座が「複数振込」を理由に凍結される事例
- スマートフォンを機種変更しただけで「不審なアクセス」と判定される事例
- 友人・知人への送金を「マネーミュール疑い」と判定される事例








