タイ北部チェンマイ大学(CMU)構内のスマートフォン専門店「ニヨムCMUストア」に5月16日深夜、何者かが押し入りiPhone13台とノートPC1台が持ち去られた事件で、警察は5月19日、28歳の男を逮捕したと発表した。被害総額はおよそ80万バーツ(約370万円)にのぼる。
逮捕されたのは配車サービス運転手のキアーティサック容疑者(28)。捜査を指揮したプープンラッチャナウェート警察署のシノタイ・リリットタム署長(警察大佐)によると、容疑者はチェンマイ県ムアン郡ワッケットゥ村にある彼女の寮の近くを訪れたところを身柄拘束された。所持品のなかから盗まれたiPhone13台とノートPC1台がほぼ全品見つかったという。
引っかかったのは動機の部分で、「経済的に苦しく、現金が必要だった」と供述しているという点だ。配車サービスの運転手という、いま競争が激しくなっている職業。日々の稼ぎで暮らす人間が、大学構内の店舗のガラスを夜中に割って入る、というところまで踏み込んでしまった経緯までは原文では触れられていないが、彼女に会いに行った先で捕まったというあたりに、なんとも生々しさが残る。
80万バーツという被害額は決して小さくない。iPhoneだけで13台。狙いを定めた感はあるが、ほぼ全品が回収されたあたり、換金ルートに乗せる前に動きを察知されたのだろう。チェンマイ大学はタイ北部の中核校で、構内には学生向けの店舗がいくつも入っている。深夜の警備の手薄さを突かれた格好だ。
CMUは日本人留学生も通うキャンパスで、夜の構内の空気感を知っている人にはどこか肌で分かる事件かもしれない。経済が厳しい、と容疑者が口にした言葉は、いまのタイで起きている小さな歪みの一つを見せてくれている気もする。