タイ東部サケーオ県ワンソンブン郡で5月16日午後、悪徳警察官4人が中国人5人を手錠で拘束し、1人30万バーツ(約138万円・合計150万バーツ)の身代金と引き換えに釈放するという恐喝事件が発覚した。中国人被害者の1人がLINEで友人に助けを求めたことから捜査が始まり、ワンソンブン警察署が容疑者4人を「公務員職権濫用罪」「職務不正執行罪」で逮捕した。容疑者にはハイウェイ警察(บก.ทล.)所属の43歳ダー・ピー(巡査長)、クロンハート警察所属の39歳ダー・ピーなど、タイ国家警察の現役メンバーが含まれている。タイ警察腐敗事件として5月16日のコラート警察大尉覚醒剤密売事件に続く第2弾で、中国人観光客が増える中、悪徳警察官の摘発も加速している。
5/16午後の摘発と容疑者
事件は5月16日午後14時30分、ワンソンブン警察署(สภ.วังสมบูรณ์)による現役警察官摘発から判明した。捜査チームはヴィサーカ・ペッチャゲーム警察大佐(ผกก. = 署長)、アタタナパクトン副署長、タナポン班長らで、容疑は「公務員職権濫用罪」「職務不正執行罪」(刑法第157条系列)の重い違反だ。
容疑者の警察官4人は以下のとおり。
第1に、パパヴィン(43歳、姓は警察により非公表)。所属はハイウェイ警察(บก.ทล. = Highway Police Bureau)。
第2に、ヴッティコン(39歳、姓は非公表)。所属はクロンハート警察署(สภ.คลองหาด)。
第3・第4の容疑者の詳細は警察により段階的に公表される見通し。階級は「ダー・ピー(ด.ต. = Pol.Sgt.Maj.巡査長)」で、現場の捜査・尋問を担当する中堅クラスだ。
中国人5人への手錠拘束と恐喝
被害者は中国人5人で、容疑者警察官たちは正規の捜査を装って彼らを手錠で拘束し、別の場所で監禁した。中国人グループに対し「釈放してほしければ1人30万バーツ(合計150万バーツ)支払え」と恐喝したという。
被害者の中国人の1人がLINEメッセージで外部の友人・親族に助けを求める連絡を送ったことから事件が外部に漏れ、被害者側の通報を受けた上位警察が摘発に動いた。捜査結果、4人の悪徳警察官の関与が判明し、被害者は無事に救出されたと報じられている。
サケーオの地理的特性
事件現場のサケーオ県(สระแก้ว)はタイ東部、カンボジア国境に接する地域。ワンソンブン郡・クロンハート郡はバンコクから車で4〜5時間の距離にあり、タイ-カンボジア国境貿易・国境観光・違法物流のホットスポットとして知られる。
中国人観光客・ビジネス関係者がカンボジア・ベトナム・ラオスとの陸路移動でこのエリアを通過することは多く、現地不慣れな外国人を狙った「偽逮捕・恐喝」型犯罪は数年前から散発的に報告されてきた。タイ警察と中国大使館の連携で、被害者保護と容疑者摘発を進めている。
タイ警察腐敗の構造と最近の摘発状況
タイ国家警察は2025年以降、現役公務員の薬物・恐喝・職権濫用への対応を強化している。麻薬取締庁(ป.ป.ส.)の「悪性切除作戦」シリーズ(5月16日に第7弾でコラート警察大尉を摘発)と並行して、警察組織内の不正捜査が進行している。
地方警察の構造的問題として、(a)低い基本給(巡査長クラスで月2〜3万バーツ)、(b)地方の現場での監督密度の低さ、(c)国境地帯での捜査裁量の広さ、などが「悪徳警察官」を生む土壌になっている。タイ国家警察は監察総監室(สง.ตร.)が内部調査を担当し、不正の早期発見・摘発に動いている。
関連背景
直接的に巻き込まれるリスクは中国人ほど高くないが、留意点は次のとおりだ。
第1に、タイの地方・国境エリアで「警察官」を名乗る人から不審な要求(金銭・パスポート・スマホ提出)があった場合、すぐに在タイ日本大使館(02-696-3000)または1155(外国人観光警察)に確認・通報する。
第2に、警察と称する人物に手錠で拘束された場合、家族・職場・大使館に連絡することは合法的権利。LINEなどで助けを求めるのは今回の事件のように成功例がある。