バンコクのエアポートレールリンク・マッカサン駅近くで5月16日午後に発生した貨物列車対公共バス衝突事故(死者8人・負傷32人以上)について、バンコク警察は同日午後20時30分に記者会見を行い、貨物列車運転士と公共バス運転手の双方に過失があったと判断、両者を過失運転致死罪(ขับรถโดยประมาท เป็นเหตุให้ผู้อื่นเสียชีวิต)で立件する方針を発表した。当初の現場映像では「バスの踏切上停車が直接原因」と見られていたが、警察は列車側も徐行義務や警笛使用の判断を含めて過失があったと結論づけた。在タイ日本人ドライバーにも踏切での安全運転義務を再考させる重要な続報だ。
警察の判断—双方過失で過失運転致死罪
5月16日午後20時30分、バンコク警察庁(ผบช.น.)サヤーム・ブンソム長官、ヴォラサック・ピシットバーンナコン警察庁本部第1副長官、サクヤ・センワン警察大佐、マッカサン警察署のウラムポン・クンデートサムリット署長が記者会見を行った。発表のポイントは次のとおり。
事故現場の検証と各種映像、関係者聴取の結果、貨物列車運転士・公共バス運転手の双方に過失運転(ขับรถโดยประมาท)があったと判断。両者を「過失運転で他人を死亡させた」とする刑法上の罪で立件する方針が固まった。両運転手の身元は警察により確定済みで、列車運転士はサヨムポン・スワンクン氏(46歳)。
なぜ「双方過失」と判断されたのか
警察が「双方過失」と結論したのは、(1)バス側は線路上に停車したことで踏切バリアの作動条件を満たさず、(2)列車側は前方の異常を視認できる距離にも関わらず制動・警笛措置が不十分だった、と評価されたためとみられる。
タイの過失運転致死罪は刑法第291条で、「他人の死を惹起した過失運転」に該当すれば最大10年の禁固刑または最大20万バーツの罰金、もしくはその両方が科される可能性がある。今回は死者8人・負傷32人以上の大規模事故で、刑事責任は重い。
事故車両と人員
事故を起こした車両は次のとおりだ。
- 貨物列車4531号:レムチャバン港発バンスー駅行き
- 列車運転士:サヨムポン・スワンクン氏(46歳)
- 公共バス:206系統(運営:タイ大量輸送公社 = ขสมก. / BMTA)
公共バスは衝撃で高架の支柱に押し付けられ、車体は炎上した。乗客の多くが車内に閉じ込められた状態で焼死したとみられる。負傷者は32人以上で、うち重傷者は依然として治療中。事故現場のアーソク-ディンデーン通りはバンコク中心部の幹線道路で、駐在員も多く通る動線にある。
関連する補償措置
タイ大量輸送公社(ขสมก.)は別途、事故被害者への補償方針を発表している。死亡者1人あたり150万バーツ(約690万円)、永続的障害者は1人あたり50万バーツ、負傷者には治療費全額を負担する。今回の刑事立件とは別に、民事責任・行政補償が並行して進む形となる。
関連背景
今回の警察判断は「踏切上停車が事故の直接原因」というSRT側の説明だけでなく、列車運転士側にも刑事責任があると示した点で重要だ。在タイ日本人ドライバーが踏切で意識すべき点は次の3つ。
第1に、踏切手前で先行車両が線路を跨ぐ形になりそうなら、自分は確実に5m手前で止まる。第2に、踏切バリアが「下りていない」という状態は「列車が来ない保証」ではない。線路上に車があるとバリアが完全に下りない仕組みの踏切がタイには複数存在する。第3に、自分の運転が直接の原因でなくとも、線路上に立ち往生した場合は速やかに車外に避難し、列車運転士に手信号で危険を知らせる行動を取る。
公共交通機関を利用する場合、運転手が線路上で停車しそうな場面に遭遇したら、降車してでも線路から離れる判断が命を救う場合がある。今回の被害者の多くが公共バスの乗客だったことを忘れてはならない。