カンボジア国防省は5月14日までに、タイ軍が主張する「カンボジア兵士による国境オルセメット地区での11発発砲」を全面否定した。報道官のマリー・ソチェアタ陸軍中将が「クメール兵士が最初に武器を発砲したという主張は虚偽」と明言し、両国の国境ローカル会談で既にカンボジア側からタイ側へ説明済みとの立場を示した。タイ軍とカンボジア国防省で公式見解が真っ向から食い違う展開となり、国境地帯の緊張は外交レベルへと移行している。
カンボジア側「我が軍は発砲していない」と全面否定
カンボジア国防省報道官のマリー・ソチェアタ陸軍中将は、タイ軍報道官の発表に対して「クメール兵士が最初に発砲したというタイ側の主張は虚偽」と明言した。さらに「両国の国境ローカル会談の中で、カンボジア軍が主張通り武器を発砲していないことは既に確認済み」と説明、二国間の現場交渉ではすでに決着済みであるかのような立場を示した。
タイ軍は「2件の挑発事案、計11発」と主張
これに対し、タイ陸軍報道官のウィンタイ・スワリー陸軍少将は5月14日、「スリン県カープチェーン郡チョンチョム東のオーサマック地区で5月13日に2件の越境事案を検出した」と発表。各地点で1〜2発ずつ、計11発の銃声を確認したとの主張は引き続き維持されている。さらに「標高278mの高地東から発砲が始まり、オルセメット進入路の東側へと広がった」と具体的な発砲経路まで提示している。
両国公式見解が真っ向対立
タイ側が「カンボジア軍兵士の規律欠如による発砲」と分析していたのに対し、カンボジア側は「事実無根、平和維持を堅守」と全面否定。両国の公式見解は完全に食い違い、現地レベルでの収拾は容易ではない状況だ。タイ・カンボジア国境では過去10年以上、領土問題と軍事プレゼンスをめぐって緊張と平和宣言を繰り返してきた経緯がある。
在タイ日本人の旅行・出張への影響
タイ・カンボジア国境地帯(スリン県、サケオ県、チャンタブリー県、ブリーラム県等)へ移動を計画している日本人駐在員・観光客にとっては、両国の公式見解が真っ向から食い違う状況は当面続く見通しだ。タイ軍は引き続き24時間警戒態勢を継続しており、国境ポイントの通行や近隣観光地(プラサート寺院群、ポイペト国境市場、アランヤプラテート周辺等)を訪れる場合は、最新の現地情報と大使館領事部の発信を確認するのが望ましい。