タイのソンクラー出身でグループ「BLACKPINK」のラッパー兼ダンサーとして世界的に活動するLisa(本名:ラリサ・マノバル)が、2026年6月開幕のFIFAワールドカップ開幕式に出演することがFIFAから公式発表された。タイ・ペイ・ビーエス(Thai PBS)によると、FIFA W杯の開幕式に出演するタイ人アーティストはLisaが初となる見通しで、タイ国民にとって象徴的な瞬間になりそうだ。
FIFAは現地時間の5月9日に開幕式の出演者ラインナップを公開。発表されたのはLisaのほか、米国のKaty Perry、米国のラッパーFuture、ブラジルのAnitta、ナイジェリアのRema、南アフリカのTylaの計6組で、いずれも世界的な人気アーティストが顔を揃えた。FIFAは今回の開幕イベントを「スポーツ・音楽・文化が融合する歴史的な夏」と位置づけ、ロサンゼルスを舞台に展開する。
Lisaは2016年にBLACKPINKのメンバーとしてデビュー。2021年のソロ曲「LALISA」「MONEY」が世界的にヒットし、自身のレーベル「LLOUD」設立後、2025年2月にデビューソロアルバム「Alter Ego」(RCA Records)をリリース。米Billboard 200で7位、Top Album Sales chartで1位を獲得し、K-POP出身ながら米国主要市場でも実績を残すアジア系トップアーティストの位置を確立した。
タイにおけるLisaの存在感は「シャム王国の世界的アイコン」と形容されるほど大きい。ソンクラー県ハートヤイ出身で、地元タイの慈善活動・寄付を継続的に行ってきたことから、海外で成功した「タイ人の誇り」として国民的支持を獲得している。タイ航空・タイ観光庁の広告キャンペーンにも繰り返し起用されてきた。
FIFAワールドカップ2026は6月11日に開幕し、米国・カナダ・メキシコの3か国共催で48チーム・104試合の史上最大規模で行われる。決勝戦は7月19日に米ニューヨーク郊外のメットライフ・スタジアムで予定されている。開幕イベントの放送は世界数十億人にリーチするため、Lisa出演はタイのソフトパワー戦略にとって計り知れない波及効果を持つ。
タイ政府の観光戦略との重なりも大きい。アヌティン政権は5/9に代々木公園で開催されたThai Festival Tokyo 2026で日本人観光客120万人誘致目標を打ち出し、「Pop Culture」を全面化する戦略に転じている。Lisaの世界舞台での起用は、この戦略の追い風として機能する。
タイ在住の日本人にとっては、Lisaは「タイで生まれ世界に行った」存在として、タイ国内の若い世代の文化的アイデンティティを象徴する人物。バンコクのコンビニ店頭、ショッピングモールの楽曲BGM、Grabの広告キャンペーンに彼女のイメージが日常的に使われる現状を見ても、その存在感は揺るぎない。FIFA W杯開幕式という前例のない舞台で、彼女がタイ系アーティストとしてのプライドをどう表現するかに注目が集まる。