タイの中央捜査局がクルンテープアピワット中央駅前で38歳の男を口座貸与容疑で逮捕した。被害者が美容クリームの通販トラブルに巻き込まれた末、ミッション参加型の追加送金を繰り返させられ約170万バーツ(約833万円)を失っていた。容疑者はカンボジア側で口座を開設し、報酬9,000バーツを受け取ったと供述している。
警察が38歳の口座貸与容疑者を逮捕、被害額170万バーツ
逮捕したのは中央捜査局犯罪抑止隊4課のアピチョン警察大佐とパイブン警察中佐ら。逮捕されたのはプラディット容疑者(38、通称テオ)で、メーサリエン地方裁判所の逮捕状(J.28/2569、2026年2月6日付)に基づく。容疑は「他人を装った公衆詐欺の幇助」、つまり詐欺集団に自分名義の口座を貸与した罪だ。場所はバンコクのクルンテープアピワット中央駅前、チャトゥチャック区にあった。
クリーム通販でメッセンジャー→LINEへ誘導、追加送金を繰り返させられる
事件は2024年末に始まった。被害者はFacebookページ「ジェー・レン」を通じて美容クリームを購入しようとし、Messenger経由で代金を送金した。しかしページ運営者は「商品を発送する前にアクティビティに参加する必要がある」と告げ、LINEで友達追加させてからグループに招き入れた。グループ内では「ミッションを進めれば追加で報酬がもらえる」「全部完了すれば送金分を引き出せる」と次々に追加送金を求められ、最終的に被害者は約170万バーツ(約833万円)を支払いながら一切引き出せなかった。
カンボジア側で口座開設、報酬9,000バーツでタイの詐欺資金洗浄
容疑者プラディットは「タイ国内ではなくカンボジア側に渡って口座を開設し、それを詐欺グループに貸し出した」と供述したという。報酬として受け取ったのは9,000バーツ(約4万4,000円)で、被害額の170万バーツと比べれば微々たる金額だ。タイ警察は、こうした「貸し口座」が国境を越えてカンボジア・ミャンマー側で開設されるケースが増えており、捜査の難度が上がっていると説明している。先のオーセメット詐欺センター摘発と合わせて、東南アジア越境詐欺の一断面を示す事案となった。
SNS通販と「ミッション参加でリターン」型詐欺の典型、見抜き方
今回の手口は、いわゆる「タスク詐欺」「ミッション詐欺」と呼ばれるパターンの典型だ。最初は数百〜数千バーツの少額を「商品代金」として送金させ、商品発送前に「アクティビティ完了で送金分が戻ってくる」と言って追加送金を繰り返させる。後半になるほど金額が膨らみ、被害者は「ここまで払ったから戻したい」と心理的に逃げにくくなる。在タイ日本人にとっても、Facebook広告から流れてきた格安通販ページにLINE登録を促された時点で警戒し、「タスクで返金される」「グループ内で指示通りに動けば利益が出る」と言われた瞬間に距離を取る判断が必要になる。