タイの魚缶詰工場でラベルと中身の魚種が違う「ラベル偽装」が拡大している。サムットサコン県で最初に摘発された事例に続き、サムットソンクラム県でも同様の工場が見つかったことを受け、首相府担当のスパマス大臣は全国の魚缶詰工場の一斉検査を指示した。違反の罰則は懲役6か月〜10年、罰金最大10万バーツ、商品差し押さえと営業停止が科される。
サムットサコンに続きサムットソンクラムでも、全国スキャン指示
スパマス首相府担当大臣は5月8日、政府本部で記者団に明らかにした。先週サムットサコン県で見つかった魚缶詰工場のラベル不一致事案を発端に、関係省庁に対し全国の魚缶詰工場の一斉検査を命じたところ、サムットソンクラム県でも同様にラベルに記載された魚種と異なる原料を使っている疑いの工場が発見された。今後も住民からの通報を受け付け、隔てなく対象を広げて調査する方針だ。
ラベルと中身の魚種が違う、食品法で偽食品製造の扱い
サムットソンクラムの新規事案では、知事、保健所、タイFDA、漁業局、消費者保護局による合同チームが製造元の工場に立ち入り、ラベル表記と異なる魚種が原料に混ざっていないか検証している。タイの食品法(仏暦2522年制定/1979年施行)では、ラベル不一致の食品は「偽食品製造」と位置づけられ、刑事処分の対象になる。安価なツナや雑魚を「サバ」「イワシ」等として販売するスキームが想定され、消費者が表示を信頼して支払った価格と実際の品質に乖離が生じる構図だ。
罰則は懲役6か月〜10年、罰金5,000〜10万バーツ、営業停止も
罰則は重い。食品法に基づく「偽食品製造」では懲役6か月から10年、罰金5,000バーツから10万バーツが科される。さらに違反工場には商品差し押さえと一時的な営業停止が命じられる。当局は「製造元から販売店までの流通網を遡って洗い出す」と表明しており、流通段階で偽装を知りながら扱った業者にも責任が問われる可能性がある。
在タイ日本人にも警戒、市販魚缶詰のブランドと産地を見直す機会
タイ国内のスーパーではローカルブランドの魚缶詰が安価で並び、在タイ日本人家庭でも非常食やパスタの具として購入することが多い。今回の偽装拡大は「タイ製の魚缶詰すべてが危ない」というわけではないが、極端に安いブランドや出所が不明確な商品については、当面は購入を控える選択もありうる。日系スーパーの輸入品や、フマトン地区などの大手チェーンの自社ブランドであれば、流通管理が比較的厳しいため安心材料になる。