タイ中部スパンブリ県の市場街にある住宅で、高齢者を含む常習薬物使用グループが摘発された。一部のメンバーは過去に12回も服役した経歴を持ち、釈放されると同じ家に戻って同じ行為を繰り返していた。住民は薬物の刺激臭と大音量の音楽に長年悩まされ続け、ついに郡当局へ通報した。
スパンブリ市場で住民通報、高齢者薬物グループを摘発
事件は2026年5月8日、スパンブリ県ムアンスパンブリ郡庁の前にスパンブリ市町村サップシン市場ソイ2の住民から苦情が寄せられたことが発端になった。「住宅の中から麻薬の臭いが漂い、爆音の音楽がほぼ終日鳴り続けている」「過去にも逮捕されたが、釈放されてまた戻ってきて同じことをしている」という訴えだ。シッティポーン郡長は即座に行動を指示し、郡庁筆頭官のチャイヤッタ氏、義勇兵、県内部安全保障局、スパンブリ警察捜査隊、市役所職員からなる合同チームを編成して現場に踏み込んだ。
麻薬の臭いと爆音、子供から高齢者までが「もう限界」
通報した住民によると、その家からは薬物使用時のメタンフェタミン特有の刺激臭が広がり、近隣の子供連れ家庭や高齢者が窓を閉め切って耐えていたという。日中も大音量の音楽が止まらず、市場で買い物をする客の足も遠のいていた。タイでは住宅密集地で発生する薬物常習者の家屋に対し、住民が郡長や警察に直接苦情を入れる事例が増えており、今回もその典型例だ。
一部メンバーは12回服役、釈放後も同じ家に戻る循環
踏み込んだ現場では、チャイヨンと名乗る高齢男性らが薬物を使用している最中だった。捜査の中で、グループの一部メンバーが過去に12回も服役した経歴を持つことが判明した。短期の刑期で釈放され、同じ住宅に戻って同じ仲間と再び使用を始める「回転ドア」状態が長年続いていたとみられる。タイの薬物事犯では、メタンフェタミン錠ヤーバーが日常使用される下層所得層が中心で、刑務所の収容能力もすでに限界に達している。
タイの薬物再犯と社会復帰、刑罰だけでは断ち切れない循環
タイ政府は近年、薬物使用者を犯罪者ではなく治療対象として扱う方向に政策を緩めてきたが、現場では受け皿となる治療施設や社会復帰支援が十分に整っておらず、釈放後にすぐ同じコミュニティに戻ってしまう構図が続いている。今回のスパンブリ摘発は刑事処分だけでなく、地域社会から長期的に薬物の発生源を取り除くにはどうすればいいかという課題を改めて突きつけている。在タイ日本人にとっては、長期で借りるコンドミニアムやタウンハウスを選ぶ際、近隣からの薬物苦情が出ていないかをエージェントに確認しておく姿勢が現実的なリスクヘッジになる。