(関連記事:パタ動物園で男女2人組がクロコダイル蜥蜴+サラマンダー盗難 5/1労働者の日昼間)
バンコクの大型ショッピングモール「パタピンクラオ(MBK系列)」内に併設されたパタ動物園で先日発生したクロコダイル蜥蜴+リス猿マーチの盗難事件で、首都警察捜査3課が容疑者の夫婦2人を逮捕した。容疑者らは盗んだ動物を薬物との交換目的で持ち出していたことが判明し、自宅捜索ではニシキヘビなど他にも多数の盗難動物が発見された。
首都警察捜査3課が容疑者夫婦2人逮捕
捜査を統括したのはサムラン・ヌアンマー副警察長官、クリッサダー・カーンチャナアロンコーン警察庁次長補佐、スィヤム・ブンソム首都警察総監、パンラップ・エームラー副総監、ティーラデート・タムスティーラ副総監ら警察上層部。実働は捜査3課(BSI)が中心となり、バンキッカン警察署、バンケン警察署など複数署と連携した。
容疑者は夫婦2人。SNSと動物取引の足取りを追って身柄を確保した。前の事件の動物の所在も含めた追跡捜査の結果、自宅で多数の動物が見つかったことから、複数の動物窃盗・違法取引の常習犯と推定されている。
盗難動物を薬物との交換に使う動機判明
事件の動機は薬物との物々交換だった。容疑者夫婦は動物園や個人の飼育者から珍しい動物を盗み、麻薬密売者・乱用者との間で動物を覚醒剤(ヤーバー)などと交換する取引を行っていた。タイ国内の薬物乱用問題と違法動物取引が結節する珍しい事案として、捜査側は社会的影響を重く見ている。
通常の動物窃盗は転売目的が多いが、薬物との物々交換は薬物常習者にとって現金フローが乏しい中で動物を「現物の支払い手段」として使う構図。動物の市場価値と薬物の市場価値が個人間で換算される形で、双方の闇経済が直接結びついていた。
自宅捜索で他にも多数の盗難動物・ニシキヘビ発見
容疑者宅の捜索では、パタ動物園で盗まれた動物の一部以外に、ニシキヘビ、リス猿(マーチを含む可能性)、トカゲ類など複数の動物が見つかった。これらは別の動物園・飼育者から盗まれた個体である可能性が高く、警察は被害届の照合を進めている。
タイのCITES(ワシントン条約)規制対象動物の違法飼育・取引は厳しい罰則が定められており、容疑者は動物窃盗罪に加え、違法飼育、薬物関連法、密輸法などの複数罪状で起訴される見通し。
バンコクの違法動物取引と薬物乱用の交点
タイは野生動物の違法取引のハブとして長らく国際的な懸念対象となってきたが、今回のように都市部の動物園を盗難先とし、薬物との物々交換で取引が成立する事例は、闇経済の細分化と複合化を示す象徴的な事案。
在タイ日本人駐在員にとって、観光地・ショッピングモール内の動物園の警備体制は今後の関心事となる可能性がある。家族での観光時に動物園を利用する場面で、警備員配置や入退場ルートの脆弱性は、安全な訪問環境の指標として無関心ではいられない。