タイ政府は本日、密輸品の摘発実績を発表した。2025年10月から2026年5月までの期間に、タバコ、電子タバコ、笑気ガス、エトミデートの違法輸入品を押収し、総額は約4.09億バーツに達した。電子タバコは部品分解で家電製品に偽装される手口が広がり、エトミデート混入液は「ゾンビタバコ」「宇宙オイル」の名称で若者に拡散しているとして注意喚起を行った。
摘発実績の内訳: タバコ4900万本+電子タバコ54.8万個
副政府報道官プロイタレー・ラクスミーサンチャン氏が公表した押収内訳は、タバコ4,906万4,878本、電子タバコ54万8,577個、笑気ガス14万200本、エトミデート28キログラムの4品目で計約4.09億バーツ。タバコが金額・本数の双方で最大のウエイトを占め、続いて笑気ガス、電子タバコ、エトミデートの順となっている。
エトミデートは医療現場で使用される麻酔薬の一つだが、レイプドラッグや若者向けの幻覚誘発剤として乱用が拡大している。28キロという押収量は単一品目としては社会問題化に十分な規模で、政府が今回の発表で重点警告対象に位置付けた品目でもある。
電子タバコは部品分解で家電偽装、南部から郵送
電子タバコの密輸手口として、機器を部品単位に分解して電化製品の小包に偽装し、オンライン購入・郵便配送のネットワークで販売する事案が急増している。摘発の現場では、南部地域から発送される違法品の郵便小包が4,000件以上押収された。
タイは電子タバコを2014年から法律で全面禁止しており、所持・販売・輸入のいずれも違法。それにもかかわらず若年層・観光客の需要は強く、闇市場で部品単位の流通が拡大していた。郵便配送を経由することで税関のフィルターをすり抜けようとする手口が、今回の集中摘発で明るみに出た形。
「ゾンビタバコ」「宇宙オイル」と若年層への拡散警告
特に注意喚起の対象となったのが、エトミデートを混入させた液体タイプの製品群。流通名は「ゾンビタバコ」「宇宙オイル」など若者の関心を引きやすい名称で、SNSやチャットアプリ経由で取引される事例が相次いでいる。
エトミデートは少量でも意識喪失や記憶障害を引き起こし、レイプドラッグとしての使用例も報告されている。政府は使用回避を強く呼びかけるとともに、密売・密輸事案への国民の通報協力を改めて求めた。
在タイ日本人と旅行者への影響
タイで電子タバコを所持しているだけでも違法行為となり、観光地のホテル・ビーチ・ナイトエリアでも警察の取り締まり対象になる。罰金または最長10年の懲役という重い罰則があり、日本人旅行者・駐在員にとっても他人事ではない。
クラブやバーで「フレーバー付きの電子タバコ」「リラックス効果のあるオイル」と勧誘される場面で、エトミデート混入のゾンビタバコに当たってしまうリスクもある。意識喪失や財布・スマホ盗難の被害事案がパタヤ・プーケット・バンコクのナイトエリアで発生しており、知らない相手から差し出される電子タバコや飲み物には絶対に口をつけないことが安全につながる。