(関連記事:サラブリ妻が夫を殺害 ホンダ・ジャズで突撃+踏みつけ 100万B貢ぎ問題が背景)
サラブリ県ムアン郡ノンヤオ町のパホンヨーティン道路102km地点で2026年5月6日、妻のアリー氏(42)がホンダ・ジャズで夫アピシット氏(38)のヤマハ・フィノに故意に突撃して殺害、降車後に顔面を踏みつけた事件で、5月7日に新しい角度の証言が出た。被害者の兄がFacebookに反論を投稿し、妻側が動機として警察に説明した「100万バーツを月々振る舞ったのに夫が距離を置いた」という金銭関係の主張を真っ向から否定した。
事件の概要を改めて整理すると、5月6日に妻のアリー氏が首都ナンバーのホンダ・ジャズで夫のアピシット氏が運転するヤマハ・フィノに故意に突撃。夫はその場で死亡し、加害者は車から降りて遺体の顔を踏みつけた。警察への初動聴取で、加害者は「夫を貢いできたのに距離を置かれた」「総額100万バーツ程度を費やした」と動機を説明していた。
兄の証言の核心は、妻側の貢ぎ主張への異議だ。Facebook投稿で「弟のことを少し話します」と書き出し、「もし妻が本当にそれだけの金額を貢いでいたなら、毎月借金しに来るはずがない」と直截に否定した。続けて、夫婦間の現実的な金銭関係について、妻が定期的に弟から借金をしていたことを示唆。「妻が振る舞った」のではなく「弟が貸し続けていた」という構図を訴えた。
タイのSNS世論はこの兄の証言を受けて二極化している。妻の説明をそのまま信じて夫を「飼われていた男」と揶揄するコメントが先行していたが、兄の投稿後は「金銭関係は逆だった可能性がある」「事件動機の語り方が一方的だった」という声が増えた。タイでは家庭内暴力事件で加害者が逮捕直後に動機を語る際、感情的・自己正当化のバイアスがかかる典型例として捉える論調も広がっている。
捜査側はホンダ・ジャズによる突撃が故意であった点と、降車後の踏みつけ行為で計画性・残虐性のいずれも認められると見て、故意殺人での立件方針を固めている。金銭関係の真相は、警察の今後の聴取や物証(銀行口座の入出金、LINEなどメッセンジャーの履歴)によって裏取りされる見通しで、妻側の主張と兄側の主張のどちらが事実に近いかは捜査結果で判明する。
在タイ日本人にとってこの事件が示唆するのは、家庭内のお金の流れがそのまま事件動機の語り方に直結するという点だ。夫婦・恋人間で「貢いだ・貢がれた」を巡る紛糾は深刻化しやすく、双方の言い分が180度違うこともある。万が一トラブルに巻き込まれた際は、銀行振込履歴やメッセージのスクリーンショットを残しておくことが、後の説明責任で決定的な役割を果たす。