タイ西部タック県メーソート郡で5月5日午後、激しい竜巻と雹を伴う強風雨が街を直撃した。地上から100m以上に達する渦巻き状の竜巻が空に立ち上がり、その後黒雲に覆われて街全体が短時間のうちに豪雨と落雷の中に投げ込まれた。田畑の大樹の下で雨宿りしていた農業労働者2人が雷の直撃を受けて重体となるなど、人的被害も発生している。
竜巻の発生は5月5日午後4時30分頃で、メーソート郡上空に渦が立ち上がる様子が報道カメラに記録された。地上から100m以上に伸びるはっきりした漏斗状の竜巻が数分間にわたって空に張り付き、住民を驚かせた。竜巻自体が直接街に降りる前に、空一面を覆う厚い黒雲が広がり、続けて強風雨が突如としてメーソート市街に襲いかかった。
最も深刻な人的被害となったのが落雷である。農業労働者2人が田畑のなかの掘っ立て小屋に避難しており、近くには大きな樹木があった。雷はこの大樹に直撃し、そこから地上に伝わって2人の体を直接撃った。意識不明に近い状態となった2人は、現場にいた仲間の労働者がメーソート病院に急ぎ搬送した。雷雨と豪雨が続くなかでの救出作業だった。
街の交通とインフラにも広範な被害が出た。メーソート-タック間の幹線道路では、暴風雨に突入した全車両がヘッドライトを点灯せざるを得ない状況で、視界はわずか100m程度に縮小した。停電が複数の集落で発生し、強風で倒れた街路樹が道路を塞いで通行を遮った地区もある。夜のメーソートで人気が高いストリートフード地区では、複数の店舗の屋根が竜巻と暴風で破損し、5月5日夜の営業を継続できない店が相次いだ。
メーソート郡長のカンパン・ピパッタモントリーゲン氏は、国境地帯の各村のリーダーに対して、被害状況の緊急調査と被災者支援に直ちに取りかかるよう指示を出した。住宅の損傷は広範に及んでおり、屋根が剥がれた家屋や倒木で道が塞がれた地域が複数確認されている。今シーズン初の最強級の夏嵐となった今回の被害は、タイ気象局が5月7日から10日にかけて全国規模での不安定気象に警戒を呼びかけたタイミングの直前に発生しており、警告期間入りに先駆けて極端な天気の予兆が現れた格好となった。