タイ・プーケット警察のヴィチット署が、タイ伝統服48着に隠匿された6.198kgのヘロインを押収した。仕向先は「カンガルー街」と呼ばれるオーストラリア向けで、現地価格はタイ国内の10倍に達する大量の海外密輸案件だった。5月5日午後にソムサック・トンクリアン警察大佐(ヴィチット署長)とプーケット鑑識チームが押収品の鑑定作業を実施した。
押収は4月30日に行われた。麻薬取締本部第4管区第2課とヴィチット署が連携し、民間運送会社で疑わしい荷物として大袋2袋が指定された。発送元はタイ東北部ルーイ県、宛先はプーケット県タラン郡サクー区の「プーケットヴィラエアポート」と呼ばれる住宅地内の住所だった。空港アクセスのよい立地に置いておき、海外運び役にバトンタッチする中継拠点として使われたとみられる。
大袋を開封すると、見た目はタイ伝統服(ชุดผ้าไทย)48着の輸送荷物だった。ところが衣服の内部や厚みのある縫製部分に、計6.198kgのヘロインが分散して縫い込まれていた。1着あたり平均130グラム弱で、税関や宅配業者の通常の検査では金属探知機にも反応せず、衣類のかさで存在を隠す手の込んだ手口である。
価格水準も今回の事件の規模感を物語る。ヘロインのタイ国内価格は1kg当たり30万〜50万バーツとされ、6kg超の押収量で計算すると国内価格でも約180万〜300万バーツの規模となる。仕向先となる「カンガルー街」つまりオーストラリアに到着すれば現地価格は約10倍に跳ね上がるとされ、最終的な末端価格は1,800万〜3,000万バーツ規模に達する計算になる。
タイから海外への麻薬密輸ルートとして、伝統工芸品や衣類など「文化的な装い」を持つ商品に隠す手法が繰り返し使われている。今回の48着のタイ伝統服はその典型例で、警察は衣服と荷物に付着した指紋を採取し、関与人物の特定を進めている。今後、運び役を雇って実際の国外運送を試みた段階で容疑者が浮上する見込みで、ルーイ県の発送元から末端の組織まで遡る捜査体制が組まれている。