ラノーン県カペーン郡の警察署に2026年4月5日、薬物の幻覚状態の男がヤーバー(メタンフェトアミン錠剤)1万錠の入ったバックパックを背負って突入した。「誰かに荷物を取りにきてくれと頼まれた」と意味不明な供述をする男を捕獲した後、男の父親と密輸ルートのミャンマー人「パイロット」も芋づる式に逮捕された。
事件の経緯
2026年4月5日、カペーン郡警察署(ラノーン県)に突然、男がバックパックを背負って乗り込んだ。警察官に発見された男は明らかに正常な精神状態ではなく、眼が虚ろで言動もおかしかった。捜索したところ、バックパックから5袋に分けたヤーバー計1万錠が発見された。
男は「自分はここへ荷物を届けに来ただけ。誰かが取りに来るはずだ」と言った。薬物の影響で幻覚や認知がおかしくなっていたとみられる。警察が懐柔して聞き出した情報から、荷物を預けた人物として父親の名前が浮かんだ。
芋づる逮捕
父親は地元でヤーバーの末端販売に関与しており、ミャンマー人の「パイロット」(タイ・ミャンマー国境を越えて薬物を運ぶ密輸者のこと)から仕入れていた。警察はこの父親を連行し、さらに薬物の供給元であるミャンマー人も逮捕した。
ヤーバーの1錠あたりの末端価格は50バーツとされ、1万錠で50万バーツ(約215万円)規模の薬物が押収された。
タイ南部の薬物問題
タイ南部とミャンマーの国境地帯は薬物の密輸ルートの一つとして知られる。ミャンマーの「ゴールデントライアングル」地域で製造されたヤーバーや、近年はシャブウ(ICE)がタイ経由でマレーシア・インドネシアへ向かう流れも報告されている。
ラノーン県はミャンマーと隣接する県で、陸路・海路での密輸が問題になることがある。今回は密輸者が使った「パイロット(運び屋)」も逮捕されており、末端から輸入ルートまでの一網打尽となった。
タイは「死刑を含む厳格な麻薬法」で知られるが、国境地帯での密輸は後を絶たない。薬物使用者の治療・社会復帰支援も課題となっており、今回の薬物使用状態での署への侵入というケースは、使用者への適切な対応という観点でも注目された。