事件が起きたのは4月3日午後6時40分ごろ、チョンブリ県パントーン郡バーンカオにある麺屋だった。パントーン署の警察官が現場に駆けつけると、店内にはナッタワット氏(28歳)が頭部を激しく殴打された状態で倒れていた。血が店内に飛び散り、近くには凶器のハンマーが落ちていた。テーブルや椅子は散乱し、店内は修羅場と化していた。
逮捕されたのは同じ店で働くウィワット容疑者(38歳)。警察が駆けつけた時点でなお興奮状態にあり、激しく抵抗した。
ウィワット容疑者は動機について「炎天下で自分が働いているのに、あいつは日陰に隠れて手伝おうとしなかった。それが我慢できなかった」と供述した。猛暑のなかで一人だけ外の作業を強いられていたことへの不満が爆発したとみられる。
事件当時、店内では複数の客が麺を食べている最中だった。突然始まった凄惨な暴行に、客たちは器をそのまま残して一斉に店外へ逃走した。命からがら逃れた客の証言によると、容疑者は制止する声にも耳を貸さず暴行を続けていたという。
タイでは現在、暑季のピークを迎えている。気象局が40度超えの猛暑を各地で予報しており、体感温度はさらに高い。猛暑はストレスを増幅させ、些細なことが暴力に発展するリスクを高める。
「日陰に隠れていた」という理由で命を奪われるというあまりに理不尽な事件。チョンブリ県は工業地帯を抱え、猛暑のなかで肉体労働に従事する労働者も多い。灼熱の現場で追い詰められた人間の危うさを、この事件は生々しく映し出している。
