スパンブリー県ダーンチャーン病院で2026年4月2日、生後1か月の赤ちゃんに9か月児向けの抗アレルギー薬が誤って投与される医療事故が発生した。病院側はミスを認め、調査を進めている。
赤ちゃんの父親がFacebookで「成人用の薬を乳児に投与された」と投稿して広まり、病院側が公式に謝罪した。
事故の経緯
ダーンチャーン病院のイッサウォン・ドゥアンジンダ院長によると、看護師が患者の取り違えにより、9か月児に投与すべき抗ヒスタミン薬「クロルフェニラミン」を、生後1か月の乳児に注射した。
クロルフェニラミンは花粉症や蕁麻疹などのアレルギー症状を抑える一般的な薬で、成人・小児ともに広く使われる。ただし月齢や体重に応じた用量設定が必要で、生後1か月の乳児では過剰投与となるリスクがある。投与量の違いが副作用の深刻度に直結する。
小児科医が1日午後から翌朝にかけて継続的に経過を観察した結果、異常な症状や危険な副作用は確認されなかった。薬の作用は通常4〜6時間で消失するという。院長は「現在、乳児の状態は安定しており、今後も経過観察を続ける」と述べた。
医療事故の原因究明
病院側は「患者識別プロセスに問題があった」と認め、再発防止に向けた手続きの見直しを表明した。タイの病院では患者の識別にリストバンドや電子カルテが使われているが、今回はその確認が不十分だったとみられる。
タイの保健省は病院に対して事故報告書の提出を求めており、関係者の処分を含む行政処分の可能性も検討されている。
タイの医療安全の現状
タイでは近年、患者取り違えや誤投薬による医療事故が社会問題として認識されるようになってきた。2025年の保健省の集計では、年間500件以上の医療事故が公的病院で報告されており、うち数十件が深刻な結果を招いている。
政府は2023年から「患者安全目標(Patient Safety Goals)」を公立病院に義務付け、識別手順の標準化を進めてきた。しかし地方の中小病院では人員不足や研修不足が続いており、ヒューマンエラーのリスクが残っている。


