タイ映画界のレジェンド俳優ノーイ・アナン・サンマサップ(หน่อย อนันต์ สัมมาทรัพย์)氏が2026年3月26日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで息を引き取った。享年81歳。訃報はFacebookのエンターテインメントページが発信し、タイのSNSで追悼の声が広がった。
「ヒーローにして悪役スター」というキャリア
アナン氏はタイ映画の黄金期(1960〜80年代)を代表する俳優だ。タイ語で「พระเอกดาวร้าย(正義の主人公でもあり悪役でもある俳優)」と称えられた独特のポジションが特徴で、同世代の俳優の多くが専ら主役かヴィランかのどちらかを演じるなか、両方をこなす稀有な存在として人気を博した。
代表作の具体的なタイトルは現時点で確認できていないが、複数のアクション映画やドラマに長年出演し、タイの映画ファンには「懐かしい名前」として知られる俳優だ。
タイの映画産業の歴史的文脈
タイ映画産業は1950〜70年代に量産体制が確立し、アクション・ロマンス・ホラーが国内マーケットを中心に多数制作された。この時代の俳優たちはスタジオ契約制のもとで働くことが多く、年間十数本の映画に出演するハードスケジュールをこなした。
近年のタイ映画はカンヌやベルリン国際映画祭での受賞や海外配信サービスでの人気を通じて国際的評価が高まっているが、その礎を築いた世代の俳優が少なくなっていく。アナン氏の訃報はその流れの中でのひとつとなった。
タイでは芸能人の訃報はSNSのトレンドに上がりやすく、特に往年の大スターの場合は世代を超えた追悼が広がる。アナン氏については「子どもの頃にテレビで見た」という40〜60代の反応が目立った。