パトゥムターニー県の有名僧侶が寺院資金1億3,400万バーツ(約6億円)の不正使用疑惑で告発された。3月27日午後、弁護士のアナンチャイ・チャイデート氏(タンマゴンタップ財団会長)が経済犯罪捜査本部(PACC)を訪れ、問題の僧侶を含む計32人に対する告訴状を提出した。
口座管理に「不正の証拠」
告発の核心は寺院の銀行口座の管理方法にある。タイの僧侶法では、寺院の財務は住職と寺務長が共同で管理し、口座の名義には寺務長の名前を入れることが義務付けられている。しかし今回告発された口座では、この規定に反して寺務長の名前が入っていない「不透明な口座」が開設されていたという。
アナンチャイ弁護士によれば、こうした口座を通じて1億3,400万バーツが移動しており、寺院の公金が横領・私的流用された疑いがある。
告発前の「こっそり出頭」が波紋
告発後に判明したことがある。問題の僧侶はアナンチャイ弁護士が告訴状を提出するより前に、こっそりと別の手続きで容疑を把握しに動いていたとされる。弁護士側はこれを「証拠隠滅の可能性がある行動」とみており、速やかな捜査開始を求めている。
タイの寺院財政と透明性
タイの仏教寺院は国から一定の補助金を受けるほか、信者からの布施・寄付が主な収入源だ。寺院の財産は基本的に宗教財産として保護されているが、財務の透明性に関する監視は不十分だと指摘されてきた。
2018年にはタイ仏教行政法が改正され、寺院の財産管理に対する外部監査の仕組みが強化されたが、全寺院への徹底はまだ途上にある。1億バーツを超える規模の不正疑惑は、宗教団体の財務透明性に対する社会的関心を高める事案となった。
僧侶の影響力と信者への影響
告発された僧侶はパトゥムターニー県で広く知られる存在で、多くの信者が法話に通っていたとされる。一部の信者は「ありえない」と訴えの正当性を疑う反応を示した。タイでは僧侶への信頼が厚い一方で、近年は宗教者による金銭トラブルの報道が増えており、仏教界全体への影響を懸念する声も出ている。