タクシン・チンナワット元首相の名前が、5月11日に開催される仮釈放(恩赦)審査委員会で審査対象となる500人のリストに含まれていることが3月23日に明らかになった。息子オークさんと妻が50回目の面会に訪れた際に「あと49日で自由になれる」と話題にしたという。
タクシン氏は2023年8月に亡命先のドバイから帰国した直後に収監された。腐敗・権力乱用に関連した複数の事件で有罪判決を受けており、当初の刑期は計10年だった。しかしタイでは重病患者や高齢者に対して刑期を軽減する制度があり、タクシン氏も持病を理由に警察病院での療養を続けていた。実質的な収監期間は短く、この点が批判を集めてきた。
仮釈放審査は法律上の正規手続きだが、タクシン氏のケースは政治的文脈が強い。現政権は親タクシン系のプアタイ党が主導しており、審査の結果次第で「特別扱い」との批判が野党や市民から噴出する可能性がある。一方でタクシン支持者の多い農村部・北部・東北部では、元首相の早期釈放を望む声が多い。
タクシン氏の政治的影響力は収監後も衰えていない。娘のペートンタン首相は現役のタイ首相であり、一家の政治的支配はタイの政治構造に深く根を張っている。タクシン氏が仮釈放されれば、タイ政界への再登場を懸念する声もある。
500人の審査対象者には他にも様々な受刑者が含まれており、タクシン氏だけが特別扱いを受けているわけではない制度上の説明はある。しかし国民の注目は元首相の動向に集中しており、5月11日の審査結果がタイ政治の焦点になることは確実だ。