タイ大手銀行のサイアム商業銀行(SCB)が、タイ初となるステーブルコインを活用した越境決済システムを開始した。法定通貨(ドルや円など)に連動するステーブルコインをブロックチェーン上で使い、国際送金を従来比で大幅に低コスト・即時に完了させる仕組みだ。
従来の国際送金はSWIFT(国際銀行間通信協会)のネットワークを経由するため、手数料は送金額の0.5〜3%程度かかり、着金に2〜5営業日を要することが一般的だ。ステーブルコイン決済ではブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて数分から数十分で確定し、手数料もほぼゼロに近い水準を実現できる。
SCBは親会社のSCBxを通じてフィンテック投資を積極的に行ってきた。RippleNetへの参加や、タイ中央銀行との「ソン」プロジェクト(CBDCの実証実験)などを通じてデジタル決済の知見を蓄積してきた。今回のステーブルコイン越境決済は、実用段階への本格移行とみられる。
タイは東南アジアの中でも仮想通貨・デジタル資産規制の整備が先進的で、タイ証券取引委員会(SEC)が認可制度を設けている。今回のSCBの取り組みもSECの承認を得ており、規制の枠組みの中で進む。ステーブルコイン越境決済が浸透すれば、タイと日本・米国・シンガポールなどを結ぶ送金コストが大幅に下がる可能性があり、タイで働く外国人労働者(約300万人以上)の母国送金にも恩恵が及ぶ。
日本でも2024年の改正資金決済法施行でステーブルコインの発行が国内で可能になったが、国際送金での実用は始まったばかりだ。タイの先行事例は、日本の金融機関にとっても注目に値する動向だ。