アヌティン首相は3月23日、午前中に予定されていた世界水の日式典(ノンタブリー県)とターオスラナーリー記念式典(ナコーンラーチャシーマー県)への出席をすべてキャンセルし、午前10時30分に首相府(タイニヤット=タイクーファー館)に入った。就任わずか4日目にして、燃料危機対応を最優先に切り替える決断だ。
首相は世界水の日式典をパラードン首相府付大臣に、ターオスラナーリー式典をサビダー文化大臣に代理を委ね、自らは中東情勢対策本部(ศบก.)の緊急会議に臨んだ。会議にはエクニティ副首相兼財務相、ピパット副首相兼運輸相、クラウィン商務相、ピチャイ産業相など主要閣僚が出席し、燃料供給不足への対応策が集中的に議論された。
アヌティン氏は3月19日に首相に就任したばかりだった。就任直後から中東の軍事情勢悪化と国内の燃料供給危機という二重の難題に直面し、式典出席という通常業務を後回しにして対策本部に入るという異例の対応を取った。「政府が危機に対して本気で向き合っている」という姿勢を示すシグナルとしての意味も持つ。
この日の会議では、製油所と大手石油業者に在庫の即時放出を命じること、地方の供給途絶エリアへの緊急配送を優先すること、備蓄の不正蓄積を行っている業者への法的措置を加速すること、の3点が確認された。翌日以降にスタンドへの供給が回復し始めたとされており、この会議での決定が早期に効果をあげたと評価されている。
しかし根本的な問題であるタイの石油輸入構造と石油基金の脆弱性は、短期の対応策では解決できない。エネルギー安全保障の抜本的な見直しが求められる中、就任初週から危機対応に追われる形となったアヌティン政権が長期的な対策をどう打ち出すかが問われていた。