パタヤのナージョムティエン・サイソン通りで3月21日午後9時40分ごろ、横断歩道を渡っていたフィンランド人観光客ミカ・クリスティアン・トゥルペイネンさん(55)がバイクにはねられ死亡した。現地警察に届け出た情報では、バイクを運転していたのはイラン人のゲンナディー・ヤルナーさん(29)で、衝突の衝撃で重傷を負い搬送された。
事故はロムポー市場付近で起きた。目撃者は「高速で走るバイクのエンジン音の後に衝突音がした」と証言している。バイクは衝突地点から約300メートル先で横転した状態で発見され、緑色のカワサキZ800は激しく損傷していた。トゥルペイネンさんは同伴者とともに横断歩道を合法的に渡っていた。救急隊が到着した時点でバイタルサインがなく、CPRを施しながら病院に搬送したが、死亡が確認された。
ムアンパタヤ警察は道路脇の防犯カメラ映像を解析し、スピードや信号状況などの事故原因の特定を進めている。ヤルナーさんの容態が回復次第、正式な事情聴取を行う方針だ。
今回の事故は外国人同士(フィンランド人被害者・イラン人加害者)という点でも注目される。パタヤには中東やヨーロッパからの長期滞在者が多く、大型バイクを運転免許なしに使用するケースが問題になっている。タイの道路交通法では横断歩道に歩行者がいる場合はバイク・車ともに一時停止する義務があるが、実際には守られていないことが多い。
世界保健機関(WHO)の統計によれば、タイの交通事故死亡率は人口10万人あたり32.2人で世界最高水準に近い。日本の同2.7人と比べると約12倍だ。パタヤはリゾート地として有名な一方、深夜のバイク事故が外国人を巻き込むケースが繰り返し報じられている。外務省の在外公館も、夜間の道路横断には十分な注意を促している。
タイ全体でバイク事故は交通事故死者の約70%を占めるとされる。スピード超過、ヘルメット非着用、夜間の無灯火走行などが主要因で、パタヤのようなリゾートエリアでは観光客が被害に遭うリスクが高い。今回の悲劇は、横断歩道の安全神話が通用しないタイの交通事情を改めて示した。