ウドンターニー県サムプラーオ地区の辺鄙な道端で2026年3月23日、26歳の男性サックナリン(通称:ポー)が覚せい剤(ヤーバー)の売買疑いで国境警察部隊(ตชด.24)の囮捜査によって逮捕された。6000バーツ(2袋)で取引が行われた後に逮捕。自宅に戻って妻と子どもに別れを告げたいと懇願したが、「最後のわがまま」が妻から猛然と説教される場面がSNSで拡散した。
サックナリン氏の妻は「また薬やったの? 今度刑務所に何年入るの? 子どもを育てていかなきゃいけないのに」と激しく詰め寄り、夫は号泣しながら子どもを抱きしめた。この動画は同情と批判が混在するコメントを大量に集め、薬物逮捕の深刻な家庭への影響を改めて可視化した。
タイでは「ヤーバー(やせ薬)」と呼ばれるメタンフェタミン錠剤が農村部・工場労働者層を中心に広く出回っている。2025年のタイ麻薬取締委員会(ONCB)の発表によると、タイ全体での年間押収数は3〜4億錠規模で、末端価格は1錠50〜200バーツ前後と幅がある。
末端売人(ランナー)は通常、日当200〜500バーツ程度で雇われる「運び屋」で、逮捕リスクは高い一方で報酬は低い。組織の上位者が末端にリスクを押し付ける構造は変わっておらず、逮捕者の多くは組織の最底辺だ。タイの麻薬犯罪に対する刑罰は重く、所持・売買の量によっては終身刑もある。
タイの麻薬問題は農村部の貧困・出稼ぎ労働の不安定さ・教育格差と密接に絡み合っている。政府は「麻薬との戦い」として取り締まり強化と更生プログラムを組み合わせる政策を取るが、地方での再犯率はなお高い。家族が崩壊するリスクを知りながらも経済的困窮から抜け出せず薬物に関わる人々の存在は、今回の動画が改めて国民に突きつけた現実だ。