タイ警察はナショナルポリスコマンダーレベルから詐欺被害が増加し続けていると警告した。2025年の年間被害総額は1,153億バーツ(約3,900億円)に達し、1日あたり約7,000万バーツの被害が発生している。日本の特殊詐欺被害と比較すると、被害規模は国内総生産(GDP)比で約9倍に相当するとされる。
被害の実態と手口
タイ警察のデータによると、2025年に確認された詐欺電話は約1億7,300万件に上った。手口の内訳では、警察官や銀行員を装った「なりすまし型」が最多で、偽の投資話を持ちかける「投資詐欺型」と、SNSで親しくなってから誘導する「交際型(ピッグ・ブッチャリング)」が続く。
ThaiExaminerの報道によると、1件あたりの平均被害額は増加傾向にある。以前は数万バーツの被害が多かったが、近年は100万バーツ以上の大口被害が増えており、被害者の年齢層も若年化している。
日本との比較
警察庁の統計によると、日本の2025年の特殊詐欺(オレオレ詐欺・架空請求詐欺など)被害額は約600億円。人口ベースでの被害率はタイの方が大幅に高い。タイの被害額1,153億バーツを円換算(1バーツ≒4.3円)すると約4,900億円で、人口は日本の約53%(約7,000万人)にもかかわらず、絶対金額でも大きく上回る。
タイで詐欺被害が深刻な背景の一つとして、タイ国境に接するミャンマーやカンボジアに詐欺コールセンターが集中していることが挙げられる。「サイバー詐欺団地」とも呼ばれる施設では、タイ人含む多国籍の「スタッフ」が24時間体制でSNSや電話を使った詐欺を行っている。
タイの対策
タイ警察庁サイバー犯罪捜査部(CCIB)は2024年以降、詐欺に使われる銀行口座の凍結速度を大幅に上げた。被害者が通報から4時間以内に手続きすれば、口座凍結が間に合う可能性がある。
また2026年4月からは「口座貸し出し(บัญชีม้า)」への罰則が強化された。知らない人に自分の銀行口座を貸したり、金銭を受け取り転送する「運び屋」行為も刑事罰の対象だ。
タイの詐欺被害相談の一元窓口は「1441」番で、24時間対応している。