バンコク発のショート動画が、5月19日にタイのSNSで一気に広がった。投稿主はエアコン洗浄を生業にするTikTokユーザー @woraphot03。古くてしばらく使われていなかった壁掛けエアコンを開けたら、内部の隙間にちんまりと並んだ白い卵が10個と、抜け殻のような蛇の脱皮跡が出てきた、という映像である。
キャプションは「もうエアコンを信用しないで、こんなのを見つけたら」。コメント欄には「自分の家のも怖くて開けられない」「室外機の配管側から登ってきたんじゃないか」といった反応が並び、エアコン洗浄業者の問い合わせも増えているようだと現地メディアKhaosodが伝えた。
タイで暮らす日本人にとっても他人事ではない。日本の住宅事情ではまず想像しない出来事だが、熱帯の集合住宅・戸建てでは「エアコン内部に小動物が住み着く」は珍しい話ではないからだ。
どんな映像だったか
動画は1分弱。エアコンの外装パネルを外し、室内機の本体を開けたタイミングで、ブロワーファンの上あたりに白っぽい卵が小さなかたまりで載っているのが映る。投稿主は素手で触らず、ピンセットで一つひとつ取り出して数を数え、近くに残っていた半透明の脱皮殻もカメラに寄せて見せている。
卵はまだ孵化していない状態で、種類までは特定していない。投稿主は「外気導入ダクトかコンプレッサー配管の通り道、あるいは壁の隙間から入ってきたのではないか」と話している。タイのエアコンは室外機と室内機を細いパイプ束でつなぐ構造で、配管が壁を貫通する穴の処理が雑だと、その隙間が小さな通り道になりやすい。
なぜエアコン内部が産卵場所になるのか
蛇は気温が高く、暗くて湿度があり、人や動物にいきなり踏まれない場所を産卵に選ぶ。長期間使われていなかったエアコンの内部はこの条件をきれいに満たす。冷房を回していなければファンも動かず、振動もない。配管口やドレンホースから内部に潜り込めば、巣作りには好都合な空間になる。
タイの戸建てや低層コンドミニアムでよくあるのが、室外機側の配管貫通孔をパテで雑に埋めただけ、というケース。長く住んでいると経年劣化で穴が広がり、ヤモリやネズミ、まれに小型の蛇が出入りする。今回の動画で投稿主が「配管経由」と推測したのも、洗浄業者として現場をたくさん見てきた経験からの当て推量だろう。
エアコン洗浄を後回しにしない
タイの一般家庭でのエアコン洗浄相場は、室内機1台あたり500〜1,500バーツ前後(約2,300〜7,000円)。フィルター洗いだけなら自分でできるが、内部の熱交換器までしっかり洗うには分解洗浄が必要で、これは業者に頼んだ方が早い。
経験的には、(目安として)半年に1回、最低でも年1回は分解洗浄に出すと、カビ臭・冷房効率の低下・水漏れといったトラブルが減る。今回のような小動物発見は珍しいケースだが、それ以前にエアコン内部はホコリとカビの温床で、ぜんそく持ちや小さい子どもがいる家庭ほど影響が出やすい。
長期不在にする部屋のエアコンも要注意だ。出張や帰国で1〜2ヶ月使わないと、内部が乾ききって、虫やヤモリが入り込みやすくなる。久しぶりに回す前にいきなりリモコンで電源を入れず、外装パネルを開けてざっと中を見るだけでもリスクは下げられる。
家まわりの隙間チェック
エアコン以外でも、タイの住宅では蛇が屋内に入る経路はいくつもある。多いのは室外機まわりの配管穴、エアコンドレンの排水口、トイレや洗濯機の排水管、玄関ドア下の隙間、網戸の破れ、屋根裏の換気口あたり。庭が広い戸建てでは、ガレージのシャッター下の段差も入口になる。
予防は地味だが効く。配管貫通孔はシリコンコーキングで埋め直す、ドレンホースの先には防虫キャップを付ける、玄関ドア下にはモヘア(隙間ふさぎ)を貼る、といった対応で侵入経路の大半は塞げる。コンドミニアム住まいなら、共用部の管理人に相談して同じフロアの配管周りを点検してもらうのも一つの手。
蛇が室内に出てしまった場合は、無理に追い出そうとせず、その部屋のドアを閉めて消防(緊急番号199)か地元の害虫駆除業者を呼ぶ方がいい。タイの消防は野生動物の捕獲・搬出にも対応していて、コブラ類など毒蛇でも比較的早く来てくれる。
まとめ
タイで暮らすうえで、エアコンと小動物の話題は周期的にバズる。今回の蛇の卵10個も、近所のあるあるが可視化された一例だ。映像としては悲鳴ものだが、実際にやるべきことはシンプルで、定期的な分解洗浄と、室外機まわり・配管穴の隙間ふさぎ。古いエアコンを長く使っている家庭、長期不在になりやすい部屋を抱えている家庭は、雨期入り前のこのタイミングで一度業者に来てもらうのが現実的な備えになる。