タイ北部チェンマイ県ドイ・インタノン国立公園で5月14日に発生したレンタルバイク事故で死亡した男女2人の身元が、5月17日にThai Examinerなどの報道で判明した。男性はアイルランド・ダブリンの「ダン・ラオガイア芸術デザイン技術大学(Dún Laoghaire Institute of Art, Design and Technology / IADT)」で映画制作を専攻していた留学生、女性はチェコ国籍と確認された。事故は同日12:20、ドイ・インタノン公園内22〜23km地点の急カーブで、レンタルの赤いホンダPCXが大雨でスリップして対向のピックアップトラックと衝突した。雨期入り直後の観光地で外国人観光客が死亡する事故として、駐在員や旅行者へのバイク利用リスクの警告となる。
事故の概要—5月14日12:20、急カーブでスリップ
事故は5月14日昼12時20分、チェンマイ県チョムトン郡内のドイ・インタノン国立公園、入口から22〜23km地点で発生した。同区間は山岳道路の急カーブが連続するエリアで、観光客のドライブ・バイクツーリングが多い。
被害者カップルが乗っていたのはレンタルした赤色のホンダPCX(スクーター・150ccクラス)。当日は大雨で視界・路面状態が著しく悪化しており、急カーブで車輪が滑って横転、対向方向から来たピックアップトラックと衝突した。2人ともその場で即死状態だった。
現場対応はチョムトン警察署、チョムトン病院、バンルアン郡役場、ドイ・インタノン国立公園職員の合同で行われ、遺体収容と現場検証が進められた。
被害者の身元—アイルランド人映画学生
5月17日までに判明した被害者の身元は次のとおり。
男性:アイルランド・ダブリンの「Dún Laoghaire Institute of Art, Design and Technology(IADT、ダン・ラオガイア芸術デザイン技術大学)」で映画制作(Film Production)を専攻していた若い学生。タイは観光またはギャップイヤー旅行で訪問していたとみられる。
女性:チェコ国籍。男性の交際相手。詳細な氏名・年齢は警察により正式公表されていない。
両国の在タイ大使館(アイルランド大使館・チェコ大使館)がそれぞれ家族への連絡、遺体送還、領事支援を進めている。
ドイ・インタノンの観光リスク
ドイ・インタノン国立公園はタイ最高峰(標高2,565m)を擁する国立公園で、チェンマイから日帰り・1泊2日の観光地として人気だ。バンコクからも飛行機+車・バイクで訪れる日本人観光客が多く、(a)山頂展望台、(b)2つの王室ストゥーパ、(c)滝・渓谷、(d)サンセット撮影スポット、を巡るルートが定番。
しかし、5〜10月の雨期には次のリスクが顕在化する。
第1に、山岳道路の路面が濡れて滑りやすくなる。タイの山道は補修ペースが遅く、コケや砂利が散乱している箇所も多い。第2に、大雨で視界が極端に悪化し、対向車・ガードレールが見えにくくなる。第3に、急カーブが連続する区間で適切な減速ができないと、車輪のグリップを失う。第4に、レンタルバイクは整備状態が一様でなく、タイヤが摩耗していたり、ブレーキが甘い場合がある。
関連背景
日本人観光客・駐在員家庭のチェンマイ・ドイ観光は人気だが、雨期のバイク利用は次の3点を徹底したい。
第1に、雨期(5〜10月)の山岳バイクツーリングは可能な限り避ける。代替手段は、(a)レンタカー、(b)現地ガイド付きツアー、(c)ソンテウ(乗合トラック)。
第2に、どうしてもバイクを利用する場合、(a)ヘルメット完全装着、(b)雨具・防水靴、(c)朝早めの時間帯(午前中に山岳部、午後の雷雨前に下山)、(d)前後ともABSブレーキ搭載車を選ぶ、(e)レンタル店でタイヤの溝・ブレーキの効き具合を確認する。
第3に、海外旅行保険・駐在員保険でバイク事故の補償範囲を確認。一般的な海外旅行保険では「125cc以下のバイク事故」は補償される場合があるが、150cc以上のバイク・レンタル時の特約が必要な場合もある。
タイの観光バイク事故統計
タイは世界的に交通事故死亡率が高い国で、事故は全交通事故死亡の約70%を占める。地でのバイク事故も多発し、ピーピー島・サムイ島・パンガン島・・パイなどで外国人観光客が事故に遭う事例が年間数百件発生している。