タイ・ノンタブリー県バンラックヤイ地区バンブアトンで5月16日朝、40歳のタクシー運転手ウィナイ氏が、交際約1年の彼女ジョイさんを撲殺し、遺体を自分のタクシー後部座席に隠したまま管轄のバンブアトン警察署に乗り付けて自首した。動機は嫉妬の激情で、彼女が他の男性と会っていることを知って激怒、賃貸部屋で平手打ち・拳・蹴りでの暴行を加えた末の殺害だったと供述している。武器は使用されていない。タイの地方では恋人間の暴力事件が時折報じられるが、容疑者自身が遺体を警察署に運び込む自首は異例で、地元紙でも大きく報じられている。
5/16朝10:10、警察署に乗り付けた瞬間
5月16日午前10時10分、ノンタブリー県バンラックヤイ地区バンブアトン警察署に通報が入った。「タクシーで来た男が、車内に遺体を載せている」という現場の警官による即時報告だった。
警察官が車を確認したところ、後部座席に女性の遺体が隠されていた。タクシーを運転していたウィナイ氏(40歳)は車を降りた直後、警察官に即座に拘束された。本人は抵抗せず、その場で容疑を認めた。被害者は約1年間の交際相手だったジョイさんと判明した。
動機—嫉妬の激情と前夜の暴行
捜査チームの取り調べに対し、ウィナイ氏は次のように供述している。
前夜(火曜日)の午後10時から11時頃、被害者ジョイさんが別の男性と会っていることを知った。怒りが収まらず、ジョイさんを呼び出して賃貸部屋で問い詰めた。口論の末、容疑者は被害者に対して平手打ち・拳での殴打・蹴りを繰り返し、最終的に被害者は死亡したという。武器は使用されていない。
タイ警察によれば、容疑者は被害者の死を確認した後、しばらく現場で動転していたが、最終的に「自首する」と決断。遺体を車内に運び込み、夜が明けた朝10時頃に管轄警察署へ向かったとみられる。
殺害現場—賃貸部屋の暴行
事件現場は、ノンタブリー県バンラックヤイ地区にある賃貸部屋(ห้องเช่า)。容疑者と被害者が共同で住んでいた、または容疑者が借りていた部屋だったかは捜査で明らかになる見通し。
タイの地方都市・郊外では、低家賃のテラスハウス型借家や1ルームアパートで恋人同士が同棲・準同棲する事例が一般的だ。今回のような嫉妬・口論からの暴力事件は、警察統計でも一定の発生率があり、家庭内暴力(DV)対策の枠組みで取り扱われる。
タイの恋人間暴力事件と量刑
タイ刑法では、恋人を殺害する犯罪は通常の殺人罪(刑法第288条)が適用される。最大刑は死刑、または15〜20年の禁固刑が一般的だ。
ただし、(a)犯行が突発的な激情によるものか計画的か、(b)容疑者が自首したか・捜査に協力したか、(c)被害者遺族との和解・賠償の有無、(d)前科の有無、などが量刑判断の要素となる。今回のケースは自首と暴行行為の自白があり、計画性は薄いと推定される。タイの裁判所はこうした「激情・酩酊・愛憎」の動機が認められた殺人事件について、減刑判断を行う傾向もある。
タイ警察は捜査を続けるとともに、被害者の遺体を司法解剖に回し、外傷状況と死因の特定を進める方針。容疑者は別途、所属タクシー会社や運転免許への影響も問われる見通しだ。
関連背景
直接的に駐在員・観光客に影響することは少ないが、(1)タイの地方都市・郊外の賃貸住宅で、隣室同士・同棲カップル間のトラブルが暴力に発展する事例は他県でも報告されている、(2)タクシー運転手は基本的に普通の市民で、犯罪率は他職種と大差ないが、深夜・早朝の人気のないエリアでの単独利用は基本的注意が必要、(3)タイのDV・恋人間暴力に対する公的救済窓口は1300(女性子供家庭省ホットライン)が利用可能、を意識しておくのが現実的だ。