タイ東北部ノンブアラムプー県の高齢女性プラニーさんが、海外在住の娘から贈られた金製品(売却額84万バーツ超、約385万円)をソンクラン期間のハイロー賭博で失い、娘の帰国前に隠蔽しようと孫のシワット容疑者(27歳)を2,000バーツで雇って偽の強盗を演出させた事件が、5月12日にThe Thaigerが報じた。海外在住の娘がチャンネル8テレビ局に「警察の捜査が遅い」と告発したことで再捜査が始まり、孫が自白した。
偽強盗の手口と発覚
孫シワット容疑者は布とスタンレーナイフを使って銃を模倣した偽の武器を用意し、強盗を演じた。プラニーさんは警察に被害届を提出したが、海外在住の娘が「捜査が遅い、母親が心配」とチャンネル8に告発したことで再捜査が開始。孫が自白し偽強盗が発覚した。その後、娘は告発を撤回した。
プラニーさんが金製品を処分した経緯はこうだ。4月13〜15日のソンクラン期間中に行われたハイロー賭博(サイコロ賭博)で大金を失い、金製品を売却して得た84万バーツ以上をすべて賭博に投じてしまった。娘の帰国が迫るなかで品物を失ったことを説明できず、偽強盗という手段を選んだ。
ソンクラン賭博とタイの高齢者
タイでは公式にはカジノやスポーツベッティングは違法だが、ハイロー(サイコロ賭博)や闘鶏は祭り期間に地域社会で広く行われ、警察も文化的慣行として黙認することが多い。少額から始まった賭博が大金へとエスカレートするパターンは高齢者にも多く、プラニーさんのように年金や家族からの贈り物を失うケースが後を絶たない。
海外出稼ぎと「金製品の仕送り文化」
海外(中東・台湾・韓国・日本など)で働くタイ人が母国の家族に金製品を贈る慣行は広く根付いている。タイ文化では金製品の贈与が「親孝行の証」とされており、本件はその慣行が裏目に出た事例だ。タイ社会で「娘への面子を立てるために偽強盗を演じる」という選択が生まれた背景には、「家族の前でギャンブルで金を失ったと認めること=社会的死」という価値観がある。
プラニーさんには偽証罪と公務執行妨害罪、シワット容疑者には偽強盗罪と教唆罪の適用が検討されているが、娘が告発を撤回したため、警察が「公務リソースの濫用」として立件するかどうかが焦点となっている。


