タイの商務省知的財産局が経済犯罪対策警察と組み、2026年4月の一斉作戦で70万点超の知的財産権侵害品を押収した。被害推定額は5,000万バーツ(約2億4,500万円)にのぼる。摘発の中心になったのは南部4県とサムットプラカン県。偽化粧品の比率が高く、観光地や中心市街地に偽ブランド品が広く流通している実態が浮き彫りになった。
知財局が大規模摘発、4月一斉作戦で70万点超
知財局のオラモン局長によると、4月の一斉作戦には知財局の摘発部隊と機動部隊、経済犯罪対策警察、権利者の代理人が合同で参加した。バンコクと近郊だけでなく地方都市の主要市場や観光地に踏み込み、商標権侵害品や著作権違反品を集中的に押収した。商務省は「知的財産権の侵害は経済安全保障への脅威であり、製造者・事業者・消費者すべてに被害が及ぶ」と位置づけ、取り締まりの恒常化を打ち出している。
南部4県とサムットプラカンの観光地を中心にパトロール
今回の集中摘発は、プラチュアブキーリーカン県、スラタニー県、クラビ県、プーケット県の南部4県と、首都に隣接するサムットプラカン県に重点が置かれた。いずれも観光客や日常買い物客の往来が多く、偽ブランド品の店頭販売が長年指摘されてきた地域だ。スラタニー県にはサムイ島・パンガン島が含まれ、クラビ・プーケットと合わせて南部の観光ゴールデンルートを構成する。先月から続くノミニー会社摘発と並んで、外国人観光客が多い地域への規制圧力が強まっている。
主役は偽化粧品、バッグ・服・メガネも押収
押収品は化粧品、バッグ、ズボン、シャツ、メガネといった広範な品目にわたる。とくに偽化粧品の点数が多く、SNSやマーケットプレイスでの販売も含めて市場を歪めている実態がある。タイは化粧品輸入の主要拠点でアジア全体に偽物が流通しやすい構造があり、知財局は摘発と並行してオンライン販売プラットフォームへの削除要請も強化している。先月には別途、商務省が偽化粧品70万点を別路線で押収した発表もあり、化粧品分野が当局の重点ターゲットとなっている。
プーケット・サムイ・パタヤは偽物の温床、購入者にも刑事リスク
タイの著作権法と商標法では、偽ブランド品の購入・所持自体が刑事罰の対象になる場合があり、観光客であっても見逃されない。空港の出国検査で発覚するケースもあり、過去には日本人旅行者が没収されたうえで罰金を求められた例もある。商務省は「タイの世界貿易上の信頼回復」を狙いに掲げ、知的財産保護の評価ステータスを引き上げる方針だ。在タイ日本人やタイ旅行者は、観光地で出回る低価格ブランド品の購入を避け、正規ライセンス店での買い物を徹底することが現実的なリスクヘッジになる。