タイの大手銀行クルンタイ銀行は2026年5月7日、外貨建普通預金口座Global Savings向けに、外貨同士を直接両替できる新機能Cross Currency Exchange(クロスカレンシーエクスチェンジ)を提供開始した。Krungthai NEXTアプリ上で利用でき、対応するのはUSD/EUR、USD/GBP、USD/JPYの3通貨ペア。これまで一旦バーツに換金してから別の外貨に両替する必要があった国際取引・旅行・投資の手数料負担が、二重課金を回避することで大きく軽減される。
Cross Currency Exchangeの仕組み: バーツ経由なしで両替
従来、タイの銀行で外貨間の両替を行う場合、利用者は対象通貨を一旦タイバーツに換金し、その後にもう片方の外貨へ再度両替する必要があった。この方式では為替スプレッドが2回発生するため、トータルの両替コストが膨らむ問題を抱えていた。
Cross Currency Exchangeは、Global Savings口座(外貨建普通預金)に保有する外貨を、別の外貨へ直接両替する仕組み。バーツを介さないため為替スプレッドの発生は1回のみとなり、両替効率が大幅に改善される。Krungthai NEXTアプリ内で完結する操作で、24時間いつでも実行できる利便性も特徴。
対応3ペア: USD/JPY、USD/EUR、USD/GBP
初期対応する通貨ペアは3組。米ドル⇔日本円(USD/JPY)、米ドル⇔ユーロ(USD/EUR)、米ドル⇔英ポンド(USD/GBP)で、いずれも世界的な主要通貨ペアにあたる。日本円が含まれている点は、在タイ日本人にとって最も重要なポイントとなる。
タイから日本への一時帰国、日本本社からの送金、日本国内の家族への仕送り、米ドル建て投資商品からの収益を円に戻すといったシーンで、両替の往復コストが効いてくる。3ペアいずれも世界的に流動性が高く、Krungthai NEXTのレート提示も他行・両替所と比較しやすい標準的な水準が見込まれる。
海外送金・投資・旅行で発生する両替コストを削減
機能のターゲット利用者として、クルンタイ銀行は旅行者、海外運用層、海外取引者の3層を挙げている。海外旅行で異なる通貨を保有・利用する場面、外貨建て金融商品の売買、海外取引先への送金など、外貨間の頻繁な両替が発生する取引で恩恵が大きい。
特に投資家にとっては、米ドル建て金融商品から得た収益を、別の通貨建て商品に乗り換える際の両替コストが圧縮される。短期売買ほど両替コストの累積影響が大きいため、機関・個人ともに利用価値が高い。
在タイ日本人にとっての利便性: 円とドルの行き来が直接可能
在タイ日本人にとってこの機能の意義は、円とドルの行き来が直接できる点に尽きる。米ドル建て口座をタイ国内で運用する駐在員、日本からの仕送りを米ドルや英ポンドで受け取る家族、海外オンラインショッピング(Amazon、PayPal等)で複数通貨を扱うフリーランス層が、両替の往復コストを意識せずに口座運用できる。
タイの他行(SCB、Bangkok Bank、KBank等)も外貨建て口座を提供しているが、外貨間の直接両替を主要3ペアでアプリから実行できるサービスは、クルンタイ銀行が先行する形となった。日本本社の口座と連携した運用を行う駐在員家計や、タイで起業した日本人のクロスボーダー取引で、両替戦略の選択肢が広がる。