タイ東北部ナコンラチャシマ県(コラート)ムアン区のノンブアサラ副地区で、犬1頭から狂犬病の陽性反応が確認されたことが4月24日、県畜産局から発表された。現地では獣医・地方行政の合同チームが封じ込めのための緊急対策を開始。在タイ日本人・観光客にとっても犬猫へのむやみな接触を避ける注意喚起となった。
発表したのはパーサウィー・ソムチャイ県畜産局長。対象となった犬は同副地区で飼育または徘徊していた個体で、脳組織のサンプル検査で狂犬病(Rabies)のウイルスが陽性と確定した。狂犬病は感染動物に咬まれるか傷口を舐められるなどで人間に伝染し、発症後の致死率はほぼ100%に達する重大な感染症とされる。
これを受けた対策としては、ノンブアサラ副地区を中心とする半径5km範囲の犬猫・牛・豚などの感染リスク動物を対象に、ワクチン接種の追加実施、未接種個体の特定と捕獲、野良動物の一時隔離などが進められる。県当局は住民に対しても、飼い犬・猫の予防接種履歴を再確認し、未接種であれば速やかに獣医院または自治体の窓口に連絡するよう呼び掛けている。
タイは東南アジア地域の中でも狂犬病の発生報告が続く国の一つで、世界保健機関(WHO)の統計でも毎年二桁の死亡事例が記録される。コラート県に加え、チョンブリー・ラヨーン・プラチンブリー・サムットプラカーンなどの地方でも過去に同様の陽性例が確認されており、地方行政と獣医当局の連携対応が定着している。
狂犬病を発症した動物は、攻撃性の増加・大量の唾液分泌・水や光への過敏反応・異常な徘徊行動などの症状を示す。発見した場合は素手で触れず、自治体の動物管理窓口または警察への通報が原則となる。万が一咬まれたり、傷口が動物の唾液に触れた場合は、流水と石鹸で15分以上洗浄したうえで即座に医療機関を受診し、暴露後ワクチン接種(PEP)を受ける必要がある。
在タイ日本人コミュニティにとっては、子どもを抱える家庭が特に警戒すべき感染症。バンコク都内でも野良犬・野良猫は多数生息しており、公園・コンドの敷地・市場周辺で動物に遭遇する機会は多い。「かわいいから」と撫でる行為が命に関わるリスクに直結する点は、タイ生活初心者ほど意識しておきたい。
ペットを飼う日本人駐在員・長期滞在者は、犬猫ともに狂犬病ワクチンを毎年接種するのが基本。バンコクなら民間クリニック・都動物病院・大学獣医学部付属病院などで対応している。接種証明書は出入国時の検疫手続きにも使われるため、保管を忘れないようにしたい。
狂犬病の予防には「事前接種(3回シリーズのPrEP)」と「暴露後接種(PEP)」の2種類があり、東南アジアを頻繁に訪れる旅行者は事前接種をしておくと現地での対応がシンプルになる。コラートでの今回の陽性例を機に、自身の予防接種状況を確認しておくのが現実的な備えとなる。