プレー県スンメン郡で4月5日朝、58歳の男性が幼稚園の電気を不正に接続し水路で感電漁をしようとした末に、自らが感電して溺死する事故が発生した。
午前7時ごろ、スンメン地区の郡長と村長のもとに「公共水路で人が溺死している」との通報が入った。警察が幼稚園裏手の灌漑用水路に駆けつけると、パンさん(58歳)の遺体が浮いていた。迷彩ズボンに緑と黒の肥料袋で作ったベストを着用し、防水ブーツを履いていた。遺体の腕にはインターネット回線のケーブルが巻きつけられており、その先には手製の感電漁用の棒が接続されていた。ケーブルを辿ると約100メートル先の幼稚園の配電盤に不正接続されていた。遺体の傍らにはすでに何匹かの魚が入った袋もあった。
感電漁は水中に電流を流して魚を気絶させ、浮き上がった魚を掬い取る違法漁法だ。タイの地方部では今なお行われており、農村地帯では「手軽に魚が採れる」と見なされるケースがある。しかし使用する電流は人間も感電させるに十分な電圧を持ち、過去に多くの死亡事故が起きている。特に増水した水路や足元が濡れた状況では電流が広がりやすく、本人が気づかないうちに感電することがある。
今回のケースでは、幼稚園という公共施設から電気を盗んだ点でも問題は大きい。幼稚園の配電盤は本来、子どもたちの安全を守るための施設だ。不正接続によって漏電や配電トラブルが起きていれば、施設の児童に危険が及ぶ可能性もあった。警察はパンさんの死因を「感電による溺死」と断定し、捜査を終結した。
タイ国家水産局のデータによれば、感電漁は年間数十件の死亡事故を引き起こしており、農村部での根絶が難しい問題となっている。水産局と内務省は周知活動を継続しているが、貧困や食料確保の事情から完全な撲滅には至っていない。パンさんが魚を取ろうとした動機については不明だが、燃料危機で物価が高騰するタイの農村部の経済的な苦しさが背景にある可能性もある。