サムイ島(スラートターニー県)のボープット地区で2026年3月、タイ人の男性が妊娠中の妻に向けて発砲する事件が発生した。男性は警察に「銃が勝手に暴発した。自分を撃とうとした流れ弾が妻に当たった」と説明したが、警察は故意の可能性も念頭に調査を続けている。
事件は自宅で起きた。警察がボープット管轄の一戸建て住宅に到着した際、妻(妊娠中)はすでに病院に搬送された後だった。男性は「自殺を試みたが銃が暴発し、妻に当たってしまった」と主張した。妻の負傷の程度・胎児の状態は現時点で公表されていない。
「銃が勝手に撃てない」というのが捜査の基本的な見方だ。タイ警察の弾道学チームは発射位置・着弾角度・距離を検証しており、「自殺未遂からの流れ弾」という説明の矛盾を調べている。タイのドラマなどでも「不慮の暴発」を言い訳にするケースは繰り返し描かれており、捜査官は事例として「DV被害者への故意の射撃を否定するための典型的な言い訳パターン」として認識している。
タイでは家庭内暴力(DV)の被害件数が年間数万件に上る(タイ女性開発財団2024年)が、実際に警察に届けられる件数はその一部とされる。妊娠中の女性への暴力は母子保護法・刑法の加重事由となる。逮捕・起訴に向けては証拠収集と被害者の証言が鍵を握る。
タイは民間銃器保有率が高く(登録済みだけで約650万丁)、家庭内での銃事故・DV銃撃が毎年多数報告される。銃の安全な保管方法(ロック付きの保管庫義務)と精神的危機にある家族への医療的介入が予防策として重要だが、農村部では整備が遅れている。

