タイの国会議員ヨットチャナン・ウォンサワット(マヒドル大学元副学長)が、量子技術に関する国家ロードマップを公表した。「先進国に追いつくための段階的積み上げではなく、中国の電気自動車戦略のように特定分野で一気に飛び越える」という発想が柱だ。
ヨットチャナン氏は2026年3月27日、マヒドル大学物理学科で開かれた「量子通信技術と計量学」セミナーに参加。量子センシング・量子通信・量子コンピューティングの3分野で、国際的なラボへのアクセスを先行させ、国内に実績を作ることで予算確保を容易にする「先に実績、後に予算」戦略を説いた。
特に注目されるのが「Quantum Precision Agriculture(量子精密農業)」の構想だ。タイの基幹産業である農業に量子センシングを活用することで、土壌・気候データの精密分析に基づいた収量最大化を目指す。これがタイの「量子ヘッドライン」になりうるとした。
量子技術への国家レベルの投資は世界的な潮流だ。中国は2023年だけで量子分野に約20億ドルを投じ、米国も国家量子イニシアティブ法を通じて約12億ドルを年間予算化している。EU・英国・日本・韓国なども量子国家戦略を策定しており、タイが後発から巻き返すには「選択と集中」が不可欠だ。
タイの現状は研究者数・設備・予算ともに先進国には大きく劣るが、中低所得国・新興市場向けの量子応用には先行できる余地があるとヨットチャナン氏は強調。「科学外交」を通じたCERN(欧州核研究機構)や欧米の国家研究所との連携強化も提案した。
タイは東南アジアのフィンテックハブとしても注目されており、モバイルバンキング・決済・保険テックの新興企業が増加している。政府のデジタルウォレット政策とも相まって、デジタル経済の底上げが進んでいる。
タイのICT産業はGDPの約10%を占めるとされ、ソフトウェア開発・コールセンター・データ処理などのサービス業が発展している。バンコクは東南アジアのITコンサルタント・エンジニアの集積地の一つだ。
タイは東南アジアのフィンテックハブとしても注目されており、モバイルバンキング・決済・保険テックの新興企業が増加している。政府のデジタルウォレット政策とも相まって、デジタル経済の底上げが進んでいる。タイのICT産業はGDPの約10%を占めるとされ、ソフトウェア開発・コールセンター・データ処理などのサービス業が発展している。バンコクは東南アジアのITコンサルタント・エンジニアの集積地の一つだ。
タイ政府は2025〜2030年の「デジタルタイランド」国家戦略のもと、AIを活用した農業・医療・教育分野のデジタル化を推進している。またデータセンター・クラウドインフラへの外資誘致にも力を入れており、大手IT企業のアジア拠点として選ばれるケースが増えている。
在タイ日本人や日本からの訪問者にとっても、今回のような出来事はタイの社会・文化の一側面を理解するうえで参考になる。タイと日本の間には歴史的・経済的な深い結びつきがあり、在タイ日系企業のビジネス活動や日本人観光客への影響も無視できない。今後も継続的な情報収集と現地状況の把握が重要だ。
タイは人口約7,000万人を擁する大国で、バンコクを中心に経済・文化・政治が集中している。2026年現在、首相アヌティン・チャーンウィーラクーン率いる連立政権は、中東情勢の影響で高まるエネルギーコストと生活費上昇への対応を最優先課題としている。在タイ日本人・日本企業にとっても、タイの政策動向や社会情勢を把握し、適切に対応することが求められる局面だ。