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サラブリー県ムアン郡パークプリアウ町のチョーンカオ寺サラマニ堂で2026年5月7日午後4時、妻による夫殺害事件の被害者アピシット氏(通称バンク、38歳)の通夜の儀式が開催された。被害者の母アンチャリー氏(66歳)は、世間で広まっていた「妻が100万バーツを夫に貢いだ」という噂を明確に否定するとともに、加害妻に対し「許す」と表明した。動機面では、加害者アリーウォン氏(通称ジップ、42歳)が復縁を恐れる猜疑から犯行に及んだとされる新事実も明らかになった。
サラブリー寺チョーンカオで通夜+母の哀しみ
通夜の儀式は仏教式の「水を注ぐ儀式」として行われ、地元市長のバーヌポン・ティパヤセウェット博士(サラブリー市長)を含む関係者、親族、友人が多数参列した。被害者の母アンチャリー氏は涙ながらに、息子の死を悼む参列者を迎えた。
事件は5月6日にサラブリー県内で発生し、加害者アリーウォン氏が運転するホンダ・ジャズで夫アピシット氏が乗るバイクを突撃で轢き、降車後に夫の顔を踏みつけて死亡させた残虐な事案。加害者は犯行後、サラブリー警察に自首している。
母アンチャリー氏「100万バーツ噂は嘘、許す」と表明
通夜で母アンチャリー氏は二つの重要なメッセージを発した。第一に、世間で広まっていた「加害妻が被害者の夫に100万バーツを貢いだ」という金銭関係の話を明確に否定。「息子と加害妻が一緒にいた間は、私の家(バンチャン町)で皆で暮らしていた」「100万バーツの話は事実ではない」と語った。
第二に、加害妻アリーウォン氏に対する「許し(アホシカム)」を表明。タイの仏教文化では、被害者家族が加害者を許すことで「お互いに業縁を残さない」という考え方があり、母は宗教的・精神的な意味での許しを口にした。ただし、これは刑事手続きの取り下げとは別問題で、強姦罪と同様にタイの故意殺人罪は被害者の意思と関係なく捜査・起訴が継続される。
加害者アリーウォン氏は復縁を恐れる猜疑が動機
新たに明らかになった動機面の情報として、加害者アリーウォン氏が「夫が元妻と復縁するのではないか」という強い猜疑を抱いていたことが挙げられた。元妻の存在が三角関係の不安要素となり、最終的に過剰な感情爆発につながったとみられる。
兄が前日に Facebook で「妻が100万バーツを貢いだ」という主張を否定する投稿を行っていたが、母の通夜での発言はこれと整合する内容。加害妻側が当初警察に主張した「金銭貢ぎへの裏切られ」という動機は、被害者家族側の証言で否定される構図となった。
タイの家庭内暴力事件と被害者家族の対応
タイ社会では、家族間の金銭関係・三角関係・感情のもつれが暴力事件に発展する事例が散発する。今回のように被害者家族が「許し」を表明する一方で、刑事手続きを最後まで進めるという二重の姿勢を取るケースは、タイの仏教文化と法治社会の調和を示す典型例となる。
在タイ日本人が現地でこうした人間関係のトラブルを身近で経験することは少ないが、家族・友人ネットワークを介して間接的に巻き込まれる可能性はある。三角関係や復縁の話題が深刻なトラブルに発展する文化的特性を踏まえ、相手の感情の機微に深入りしない距離感を保つことが、無用なリスクを避ける基本となる。